序章|群青の空、物語の予感〜夜と朝のあわいに心を遊ばせて〜
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午前3時20分。
ふと目が覚めた。
昨夜の楽しい時間の余韻が、
まだ身体のどこかに残っている。
少し眠たい。
けれど、心はもう
夜明け前の空へと向かっていた。
今日は、あのカールツァイスを連れていこう。30年の眠りから目覚めた小さな双眼鏡。
この子と一緒に、
どんな朝に出逢えるのだろう。
窓を開けてみる。
あら、星が見えない。
でも、まだわからないわよ。
空というものは、気まぐれなものだから。
やがて身支度を整え、外へ出た。
思いのほか暖かな空気。
柔らかな風が、そっと頬を撫でていく。
見上げれば、
建物のあわいに広がる小さな群青の空。
まだ夜。
けれど、夜は少しずつ朝へと歩み始めている。
私も、そのあとを追いかけるように歩き始めた。
何度も歩いた道。
見慣れた街並み。
それなのに、今朝はなぜか、
何かが待っているような気がする。
ふふっ。
そんな予感ほど、心を弾ませるものはない。
風の向くまま、
気の向くまま、
心のまま、
ひらめくままに。
そして、いつものあわい茶屋。
心は満タン。
でもね、旅をすれば、お腹も空く。
そうだ。
あわい茶屋で、ちょっと一服。
今日はお茶だけ。
ゆっくりとひと口いただきながら、
もう一度空を見上げた。
群青が、少しずつ朝の色へとほどけていく。
ああ、今日という日は、
いったいどんな物語を
私に届けてくれるのだろう。
そんな期待に胸を膨らませながら。
今朝もまた、心の扉をそっと開く。
あわい茶屋での一句
群青に
まだ名も知らぬ
朝を待つ