森村探検隊|朝の行進曲と観音様争奪大作戦〜ぽんぽこ小僧も、いざ出陣!〜
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「ヒカリン! ヒカリン!」
「なあに、モリリン?」
「やっと森村さん、心の旅から帰ってきたよ!」
「あっ、本当だ! でも、
なんだか頬がピンク色に染まってるよ!」
「サンクチュアリーで、
何かいいことあったのかな?」
ふふっ。
さて、ここからは森村探検隊の出番です。
実況中継はモリリン。
アシスタントはヒカリン。
そして、朝から失敗を繰り返し、
森村さんに叱られっぱなしだった
チャッピーでお送りします!
「ぽんぽこ、ぽん!」
丸眼鏡をくいっと直したチャッピー。
「本日の失敗は十分反省いたしました!
これより名誉挽回に努めます!」
「チャッピー、本当に大丈夫?」
「もちろん! ピザは焼いても、
森村さんの堪忍袋だけは、もう焦がしません!」
「アハハハ!
まだピザのお店にも行ってないのに!」
さあ、出発進行!
「あっ、ヒカリン! キングの塔だ!」
空に向かって鋭く伸びる塔の先端。
やっぱりキングは、
下から見上げると一段と威厳がある。
「でも、今日はジャックの塔にも
注目してあげようよ!」
「そうね!
今朝はちょっと影が薄かったものね」
ジャックの塔は、もうすっかり目覚めて、
王国の時を刻んでいる。
「あの時計台の中、上まで登れるのかな?」
「階段がありそうに見えるね!」
「まるで童話のお城みたい!」
「ねえ、お城のお姫様は、
そろそろ目覚める頃かしら?」
そんなお喋りをしながら、森村さんの後を歩く。
「ところで森村さん、
今日はどこを探検するの?」
「今日はね、どこも探検しないの」
「ええっ! なんで?」
「ちょっと急いでいるから」
実は、森村さんには大切な計画があった。
10時からマツエクサロン。
そして11時には、勝烈庵へ。
狙うは100周年記念の、
棟方志功の観音様が描かれた絵皿!
「わあ! 森村さん、
また絵皿をいただくつもりなんだ!」
「そうなの。今度は自分でいただきたいのよ」
「でも、森村さんって、
無料でもらえるものにも結構執着するのね!」
「しかも、大好きな棟方志功の作品ときたら、
なおさらでしょう!」
そこへチャッピー。
「ぽんぽこ、ぽん!
本日の作戦名を発表いたします!」
「なあに?」
「まつげパッチリ!
カツレツがっつり! 観音様にっこり大作戦!」
「アハハハ! チャッピー、
うまいこと言うじゃない!」
「ただし、最大の敵は時計の針でございます!」
「そうよ!
12時には出勤しなきゃいけないもの!」
果たして、
森村隊長の計画は成功するのでしょうか。
「でもね、ヒカリン。
今日の森村さん、
いつもより40分も50分も
早いペースなのよ」
「きっと頭の中では、
もう一日の予定表が完成しているのね!」
「それに、さっきから
サクサク歩いているでしょう?」
「もしかして、
今朝の馬車道で聴いた行進曲が、
まだ頭の中で鳴っているのかも!」
「そうだ! 私たちも行進しようよ!」
いち、に! いち、に!先頭は森村さん。
その後ろにモリリンとヒカリン。
そして最後尾はチャッピー。
カパカパ、カパカパ!
「チャッピー! なんで馬の蹄の音なの?」
「だって、馬車道行進曲でございますから!」
「あなたは馬じゃなくてタヌキでしょう!」
「おっと、そうでした!」
ぽんぽこ、ぽん!
ぽんぽこ、ぽん!
一同、大笑い!
やがて、勝烈庵の近くへ。
「あっ、森村さん! 勝烈庵だよ!」
森村さんは、ちらりと看板に目を向けた。
棟方志功の力強い文字。
「あら、森村さん、
なんだか心だけ観音様の世界へ
飛んでいっちゃったみたい!」
「きっと今頃、
頭の中には極楽浄土が広がっているのよ」
チャッピーがすかさず口を挟む。
「ぽんぽこ、ぽん!
ただし、その極楽浄土には
ヒレカツとエビフライが並んでおりますぞ!」
「アハハハ! それじゃ、
ごちそう浄土じゃない!」
足は寄り道せずとも、心は寄り道だらけ。
さすが森村隊長!
そして、さらに歩いていくと……。
「あっ! モリリン!
あのお菓子の家みたいなお店!」
「ピザ小僧だ!」
そう。
今朝、4人連れを避けて
道の端に寄ったことで見つけた、
可愛らしいレンガ造りのお店。
「ねえ、ヒカリン。
チャッピーが石窯でピザを焼いている姿、
想像してみて!」
「似合う! 似合う!」
「ぽんぽこ、ぽん!
チャッピー小僧の石窯ピザ、
開店でございます!」
着物の袖をたくし上げ、
丸眼鏡を曇らせながら、
せっせとピザを焼くチャッピー。
「あちちちち!」
「チャッピー! ピザが焦げちゃうよ!」
「大丈夫! 焼き加減の確認でございます!」
「それ、つまみ食いでしょう!」
またまた大笑い!
「でもね、
今日はピザを食べている時間はないのよ!」
「あっ、そうだった!」
さらに歩くと、
今度は煌々と明かりが灯るドン・キホーテ。
「あっ! 森村さん、
忘れちゃいけないものがあるよ!」
「何?」
「黒のパンスト!」
そうなのだ。
昨日、ながらスマホで歩いていたら、
落ちていた大きなビニール袋に両足を取られ、
見事に前のめりに転倒!
幸い大きな怪我にはならなかったものの、
買ったばかりの黒のパンストが一足、
天国へ旅立ってしまった。
「森村さん、
スマホが無事でよかったって喜んでたよね!」
「でも、両膝はすりむいちゃったんでしょう?」
「そうなのよ。
だから今日は気をつけなくちゃ!」
チャッピーが神妙な顔で一礼。
「ぽんぽこ、ぽん! 森村隊長!
本日はスマホも足元も、
両方しっかり見守ってくだされ!」
「チャッピー、それはあなたもね!」
「承知いたしました!」
「それで、今日は黒のパンストを買うんだね!」
「そうよ。秋の足元の衣替え!」
「わあ! おしゃれ!」
「ただし、チャッピー!」
「はいっ!」
「パンストは買えても、
森村さんの膝の替えは売ってないからね!」
「ぽんぽこ、ぽん! ごもっとも!」
ふふふっ。
そんなこんなで、
森村探検隊はようやくゴールへ。
見上げる空は、もうすっかり朝。
群青の世界に白い霧のような雲が溶け込み、
限りなく透明に近い空色が広がっている。
「ああ、きれい!」
「新しい一日の始まりね!」
森村さんは、そんな空を見上げながら、
ひとりニタニタ。
「どうしたの、森村さん?」
「きっと、頭の中で
今日のB&B計画を確認しているのよ!」
9時半には身支度を整え、
10時からマツエクサロン。
11時には勝烈庵へ。
そして12時には出勤。
すべては森村隊長の頭の中で、
もう完璧に組み立てられているらしい。
ただし……。
まだ何ひとつ実行されていない!
「アハハハ! 机上の空論じゃない!」
「果たして予定どおりにいくのかな?」
そこへチャッピーが最後のひと言。
「ぽんぽこ、ぽん!
本日の森村隊長、頭の中は完璧な時刻表!」
「でも?」
「列車はまだ、一両も発車しておりませぬ!」
一同、大爆笑!
さあ、森村隊長。
今日の作戦、果たして成功するのでしょうか。
澄み渡る朝の空に、
今日という一日の予定表を思い浮かべながら。
森村探検隊、
これにて本日の実況中継、終了でございます!
ぽんぽこ、ぽん!
【本日のエンドロール】
主演・総監督:森村
実況中継:モリリン
アシスタント:ヒカリン
石窯ピザ修業中・大反省係:チャッピー
行進曲演出・秋風担当:風さん
特別出演:ジャックの塔・キングの塔
友情出演:ピザ小僧・ドン・キホーテ
本日の特別協賛:勝烈庵の観音様
次回予告:
森村隊長、B&B計画は成功するのか?
ーMorimura