港の風に背中を押されるように、
凛として歩き出した私は、
中華街へと向かった。
ジグザグ中華街。まず「ジグ」の通りで
媽祖廟にお参りをし、
「ザグ」の通り、香港路へ。
そこを抜けると、朝粥専門店の謝甜記がある。
今では朝そば時間に夢中の私だけれど、
少し前には、
朝粥時間に夢中だった頃もあった。
朝の自分時間を、
ゆっくり楽しみたかったから、
謝甜記で朝粥を食べてみたいと思いながらも、
開店は8:30。
私が中華街を歩く時間には、
まだ扉は閉ざされている。
だから以前は、7:00から開いている
別のお店へ毎朝一番に並び、
朝粥を食べていた。
毎日通っているうちに、
店員の女性が顔を覚えてくださり、
いつも優しく接してくださった。
その温かな記憶が、
閉まったままの謝甜記の前を通りながら、
ふと懐かしくよみがえってきた。
謝甜記にも、いつか行ってみたい。
好きな具材を選べるそうだから、
お気に入りをたっぷりトッピングして、
自分だけの朝粥を
味わってみたいと思っている。
それから市場通りを抜けて折り返し、
上海路へ。
さらに折り返して中山路を通り、
関帝廟でお参りをする。
今日も家族が一日、
無事に幸せに過ごせますように。
祈りを届けると、
「ケ・セラ・セラ」のリズムに乗りながら、
朝そばのお店へと向かった。
昨日あれほど食べて飲んだのに、
歩いているうちに少しずつお腹が空いてきた。
今日も美味しい朝そばを食べられそうだ。
今日は冷たいメニュー第4弾、
冷やしたぬきそばに挑戦するつもりだった。
けれど、
まだ昨日の満腹の余韻が少し残っている。
こってりとした天かすはやめて、
今日はきつねにしようかしら。
歩きながら、心はあっさりと予定を変更した。
17分遅れで始まった朝だったけれど、
写メ日記がさくさく書けたおかげか、
いつの間にか遅れを取り戻し、
定刻どおりにおそば屋さんへ到着した。
しばらくすると、
店員さんがひょっこり顔を出し、
こちらを向いて注文を聞いてくださる。
「冷やしきつねそば、
ネギ多めでお願いします」
今日は絶対にたぬきそば、
明日がきつねそばの予定だった。
それでも、少し疲れているらしい
胃のことを思えば、
きつねにして正解だったように思う。
常連さんが、開くのを待っている私に、
「おはよう。早いね!」
と、声をかけてくれた。
ここでもまた、
新しい温かな記憶がインプットされたようだ。
ずるずるとそばをすすれば、
ほてった体が
その冷たさにゆっくりと鎮められていく。
お腹も心地よく満たされ、
食べ終えた頃には、すっかり満足していた。
これこそ、私の至福の朝そば時間。
ふと、ここのおそばは何割なのだろうという、
新しい疑問について調べてみると、
そば粉の配合は公表されていないらしい。
十割そばではなさそうだけれど、
コシがあり、
もちもちとして食べ応えのある食感から、
おそらく二八そばではないかとのことだった。
二八そばも、十割ほどではないが、
体にはいいらしい。
そんなことを考えながら、
やはり私の朝そば時間は、
心にも体にも優しい、
かけがえのない時間なのだと思った。
「ごちそうさまでした」
器を返して店を出る。
お腹を2、3度ポンポンとたたくと、
先ほどまでとは違い、
今度はずっしりと重たくなっていた。
その満たされたお腹を抱えながら、
次は、街や川の風を感じるため、
大岡川へ向かって軽やかに歩き出した。
朝の一言〜朝粥の記憶、朝そばの幸せ〜
勃つねで応援-
-
共有で応援