5:10少し前、
お店に部屋の鍵を返し、
それから駅へと向かった。
駅まではほんの短い距離。
でも、なぜか埠頭を渡る風を感じたくなった。
アップテンポのリズムに乗りながら歩く。
ちょうど今は、
朝ウォーキングを始めてから40分ほどが過ぎ、いつものパワースポットにたどり着き、
無になる時間だ。
港の方を魅つめながら、
同じ音楽を聴いているはずなのに、
今の私は朝ウォーキングのときとは少し違う。
無になっているわけではない。
半分の私はまだ横浜に残り、
もう半分の私は会社へ向かっている。
ちょうど心のモードを切り替えている、
その途中なのだ。
会社へ出社してからの忙しさを思い浮かべ、
お店で過ごした数々のシーンを振り返る。
頭の中は、無というにはほど遠く、
いくつもの思いが行き交う
ビジー状態になっていた。
思えば、お部屋を掃除し終え、
きれいさっぱり片付いたあの瞬間、
私の心は一度、
無になっていたのかもしれない。
空っぽになった心の中へ、
あなたと過ごした目眩く時間をそっとしまう。
そして今度は、
会社で過ごす今日のスケジュールを
一つずつ取り出して並べていく。
しまうものと、これから使うもの。
その二つが、
頭の中でパタパタと入れ替わりながら、
新しい一日への準備が静かに進んでいた。
地下鉄の改札へ降りる
エレベーターの入口では、
いつものように10分ほど待つ。
その時間が、私は結構好きだ。
辺りを見渡すと、
大通り公園の木々が
風にさやさやと揺れている。
ビルやマンションには
まだ明かりがほとんどなく、
ホテルも静まり返っている。
道路を時折車が通り過ぎ、
歩道には数人の人が静かに行き交う。
この風景を、もう何度魅てきただろう。
それでも、
そのたびに目に映る景色は少しずつ違う。
今日は、大通り公園の木々が
ひときわ美しく感じられた。
朝陽を浴びてきらきら輝く新緑も美しい。
でも今日は、
静まり返る深い緑の佇まいに心を惹かれた。
それが、今日の私自身のように思えた。
今日は、あちこち動き回り、
走り回る一日ではない。
会社では自分の席に静かに鎮座し、
自分の部屋にこもって、
地道にデスクワークへ向き合う
一日になるのだろう。
そろそろ駅員さんが
シャッターを開けてくださる時間になった。
「おはようございます。」そう挨拶すると、
「おはようございます。
今日も気をつけて帰ってくださいね」
いつものように返ってきた、
その一言。
何度も交わしてきた言葉なのに、
今日の私の心には、
いつも以上にやさしく響いた。
心を入れ替える境界線✨
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