ついに、うなぎそばの正解にたどり着いた。
しかも、それは、
晩御飯のうな重を作っている最中に、
突然ひらめいたのである。
ショートドラマを観る前に、
その感動のシーンを振り返っていた。
家族には、いつもどおりのうな重。
私も同じものを食べるつもりだった。
ところが、ふと十割そばが目に入った。
「私だけ、ご飯の代わりに
そばにしたらどうだろう」
その瞬間、
かつて大失敗に終わった、
あのうなぎそばの記憶がよみがえった。
温かいかけそばに
うなぎの蒲焼きをのせたところ、
せっかくの香ばしさも甘辛いたれの味わいも、
そばだしに負けて、
すっかり洗い流されてしまったように感じた、
あの日の悔しさである。
その話をしたとき、
「ざるそばの上に
のせたらいいんじゃないですか」と
アドバイスをいただいた。
実は私も、
それは一度試してみたいと思っていた。
そこで、うな重の器に十割そばを盛り、
ざるそばのように食べようと、
薬味とそばつゆまで用意した。
けれど、うな重を作りながら、
さらにもうひとつのひらめきが降りてきた。
「そばをご飯に見立てて、
蒲焼きのたれを絡めたらどうなるのだろう」
思い立ったら、試さずにはいられない。
こうして、
失敗から始まったうなぎそばの物語は、
思いがけない新しい一皿へと動き始めた。
白いご飯とは違い、
そばの色とうなぎのたれの組み合わせは
最初こそ少し不思議な印象だった。
しかし、その上にうなぎの蒲焼きをのせ、
さらにたれを回しかけると、
だんだんとうな重らしい表情になってきた。
仕上げに山椒を振りかける。
見た目は、もう立派な「うなぎそば」だった。
そして、お味はというと
──これが実に素晴らしかった。
十割そば特有の少しパサッとした食感と
豊かな香り、
自己主張しすぎない素朴な味わいに、
甘辛いうなぎのたれが驚くほどよく合う。
そして、そのたれとうなぎの蒲焼きも、
もちろん相性は抜群である。
ご飯よりも軽やかで食べやすく、
喉越しもよい。
暑い夏には、
こちらのほうが心地よく感じるほどだった。
「うなぎそばを作るなら、この食べ方に限る」
そんな確信さえ湧いてきた。
久しぶりにこちらで食べたうなぎの蒲焼きは、
やはり格別だった。
香ばしく焼き上げられた皮の香り。
一口噛めば、脂の旨みが
じゅわっと口いっぱいに広がる。
その余韻を、十割そばがやさしく受け止め、
二つの味わいが
美しいメロディーを奏でているようだった。
失敗したからこそ生まれた新しい食べ方。
まさに、「うなぎの教訓」が
運んできてくれた Serendipity だった。
さて、このメニューを何と名付けよう。
「うなぎそば重」
きっと、そのままの名前が、
一番しっくりくるのかもしれない。
うなぎの教訓が生んだ、うなぎそば重✨
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