お風呂から上がると、
髪も乾かさず、
もちろんノーメイクのまま、
いつものトレーニングウェアに着替えて、
家族の運転練習に付き合うため外へ出た。

扉を開けた瞬間、
涼しげな朝の空気が、
濡れた髪と火照った体を
やさしく包み込んだ。
その風が、私の体をさらさらと撫でていく。
朝の光も風とともに、
私に微笑みかけてくれているようだった。

やっぱり、家族の運転練習を
最優先にしてよかった。
どこからか、セミの鳴き声が聞こえてくる。
今日もこれから暑くなるのだろうけれど、
いつもの厳しい暑さよりは、
少しだけ落ち着いた一日になりそうだった。

やがて家族が出てきた。
笑顔で私に微笑みながら、
「今日もよろしく」そう声をかけてくれた。

運転練習に付き合うといっても、
私は助手席に座っているだけで、
ほとんどの時間、
日記を書いている。
いつもスマホばかり触っているから、
おかしいと思われていないだろうかと、
少し気になっている。
でも、どうやら会社の仕事をしていると
思っているようだ。

時折、言葉を交わす。
ふと目に留まったものについて話し、
会社のことを話し、
今日いつものカフェで
何を食べるかを語り合う。

そんなささやかな会話のキャッチボールも、
私にはとても楽しい。
そして私は、
会話と会話の合間を見つけては、
少しずつ、ちくちくと日記を書き進めていく。

私は、一緒にいられる時間は、
家族とのことを
何よりも大切にしたいと思っている。
家族もまた、
そんな私の気持ちを、
わかりすぎるほどわかってくれている
ような気がした。

やがて、注文したメニューが運ばれてきた。
今朝は、コーヒーがいつも以上に
おいしく感じられた。

お店の窓から差し込む光は、
私と家族のいる場所をそっと見守るように、
温かな輝きを届けてくれている。
中庭では、木々の葉がわずかに揺れていた。
その姿を魅つめていると、
そこにも優しい風の気配を感じる。

心が、温かさと幸せの中で、
ゆっくりと溶けてしまいそうになる。
この家族との素朴で幸せなひとコマを、
そっと胸の中に飾っておこう。
そうすれば私は、寂しさだけではなく、
今日ここで受け取った温もりも
一緒に抱きしめながら、
自信をもって新しい場所へ
旅立てるような気がした。