メールを確認しながら、
荷物の仕上げをし、
2回目、3回目の洗濯物をベランダに干す。
その合間には、
家族と囲む最後の昼餉のために、
せっせと料理の下ごしらえを進めていた。
出来上がるまでに時間のかかる焼き茄子。
きゅうりの浅漬け。
そして、同じきゅうりを使った、
たたききゅうりの塩昆布和えは、
もう作り終えている。
あとは、食べる少し前になったら、
そばを茹で、出汁を作りながら、
西京焼きを焼くだけだ。
我が家では、普段のお昼ごはんは、
それぞれが自分の時間に合わせて
食べることが多い。
けれど今日は、時間に余裕があった。
家族と一緒に
「旅立ち前の最後の昼餉」を囲むなんて、
これまで一度もなかったのではないだろうか。
横浜へ行くと、魚や、
いわゆる家庭のおかずを食べる機会が
ほとんどない。
だから、横浜へ向かう日が近づくと、
無性に魚が食べたくなる。
おばんざいのような、家の味も恋しくなる。
とはいえ、
一度にたくさん食べられるわけではない。
だからこそ、
今の自分が本当に食べたいものを選び、
丁寧に味わいたいと思う。
今日は、冷凍庫の中で見つけた
カレイの西京焼きを食べてから
旅立ちたいと思った。
家族に尋ねると、
焼いたものはお昼ではなく、
晩ごはんに食べるという。
それならばと、
カレイの西京焼きに合うように、
小松菜と厚揚げのお味噌汁も作っておいた。
こちらは、家族の晩ごはん用である。
お昼ごはんの準備がひと通り整ったところで、
また自分の考えをまとめたくなり、
ベランダへ出て、外の風に当たっていた。
頭の中では、さまざまな思いが交錯している。
早く、横浜へ行きたい。
でも、もう1日、家でゆっくりしていたい。
あなたに逢いたい。
けれど、家族とも、もう少し一緒にいたい。
そんな未練がましい気持ちが、
行ったり来たりしている。
けれど、この複雑な思いも、
時間の経過とともに
少しずつ整理されていくのだろう。
そして、玄関の扉を開け、
一歩を踏み出した瞬間に、
きっと心はさっと切り替わる。
新旧のサーバーの間を
しばらく浮遊していたDNSが、
新しいサーバーへ、すぱっと着地するように。
それがわかっているから、
今はまだ、可愛く、
けなげに迷っていようと思う。
旅の支度をしながら。
風もまた、「今は、それでいいのよ」
そう言っているかのように、
私の頬をやさしく撫でながら、
静かに通り過ぎていった。
風に預ける旅立ち前の迷い✨
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