ショートドラマを観ようと思っていた。
でも、観る間もなく、
ソファに横になった途端、
そのまま眠ってしまっていたみたいだ。

家族に「17:00よ」と起こされた時は、
きっと一番深い眠りの中にいたのだと思う。
とにかく起きたものの、
頭はぼんやりしたまま。

今日ぐらいは運転練習のお付き合いを、
パスさせてほしかった。
「会社の仕事で疲れているし、
たまに家へ帰ってきているんだから、
少しは労わってよ」
そんな言葉が、喉元まで出かかった。

隣に乗っているだけとはいえ、
本音を言えば、もう外へは出たくない。
明日も忙しい。
今日は、ただ静かに休んでいたかった。

こんな時は、一人がいい。

そんなことを思いながら、
渋滞する道路をゆっくりと進んでいた。

何気なく窓の外へ目を向けると、
背丈を大きく伸ばしたススキが、
風に揺れていた。
少し白けた空に、鮮やかな黄緑が映え、
その揺れは
思わず見惚れてしまうほど美しかった。

今にも薙ぎ倒されそうなくらい
一方向へ大きく傾きながら、
それでも折れることなく、
風を受け止めている。

風は怒っているのだろうか。
それとも、深く悲しんでいるのだろうか。
いや、もしかすると、
それは歓喜の舞だったのかもしれない。

私には、その答えを知る術はない。

ただ、燦々と照りつけていた太陽が
ようやく影を潜め、
待ちわびていた自分の出番が
巡ってきたことを、
風が全身で喜んでいるようにも思えた。

そんな自然の交代劇を
静かに眺めているうちに、
愚痴ばかりこぼしていた自分の器の小ささを、
少しだけ恥ずかしく思った。

あのススキのように、
強い風さえ受け止められるくらいの度量を、
私も持てるようになりたい。
そう思いながら、
風に揺れるススキを眺めていると、
まだ少し気が早いけれど、
もう心は月見の季節へと向かっていた。