トマトソースの酸味の爽やかさが
口の中いっぱいに広がり、
ふわふわの玉子のやさしい甘みと、
包み込まれたライスの旨みが、
そのあとをそっと追いかけてくる。
ひと口、またひと口と運ぶたびに、
「こんなに美味しかったんだ」と、
懐かしい記憶まで
一緒によみがえってくるようだった。
気がつけば、お皿は少しずつ空になっていた。
あれほど「全部は食べられないかな」と
思っていたのに、
最後のひと口まで
美味しくいただいてしまった。
お腹はいっぱいなのに、
不思議と心は軽くなっていた。
家族と時折顔を見合わせては、
「美味しいね、美味しいね」
と笑い合う。
さっきまでは心の中で愚痴っていたけれども、
やっぱりこんなささやかな時間に、
幸せというものは
そっと隠れているのかもしれない。
豪華な料理ではなくても、
大切な人と同じテーブルを囲み、
同じ美味しさを分かち合える。
それだけで、
心はこんなにも満たされるのだと、
あらためて感じていた。
レストランを出ると、
もう外は暗闇に包まれていた。
街の色とりどりの明かりは、
さらにその輝きを増していた。
風がふわり、ふわりと吹いてくる。
私と家族を優しく包み込む。
もう食べられないというほど
お腹がいっぱいになり、
それに合わせて胸もいっぱいになった。
心地よい風に吹かれながら、
心地よい風に頭を撫でられながら、
心地よい風に包まれながら、
今日という一日の出来事を、
風が静かに整理してくれているようだった。
夕暮れから夜へと移り変わる街並みを、
家族と肩を並べてゆっくり歩く。
ネオンの灯りは優しく揺れ、
風は今日の思い出を
一つひとつ胸に運んでくる。
やっぱり、何気ない一日が
一番幸せなのかもしれない。
美味しかったわ。
ごちそうさまでした。
風が運んだ、ささやかな幸せ✨
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