そろそろご褒美の
ショートドラマを観て眠りにつこうと思った。

でも、その前にどうしても
ベランダへ出たくなった。

今日一日、朝からずっと私についてきたり、
離れたり、また戻ってきたりしながら、
前へ進む力をくれた風に、
「おやすみなさい」を伝えたかったからだ。

蒸し暑い夜を想像していたのに、
ベランダには思いがけず
涼しい風が吹いていた。
外を見ると、
いつの間にか雨が降っていたようで、
路面だけがしっとりと濡れている。

天気予報では、これから夜中にかけて
少し降るものの、
二、三時間ほどで止むらしい。

今日も朝から本当に忙しい一日だった。
早起きしすぎたせいもあるのか、
もうまぶたが重くて仕方がない。
少し時間ができるたびに
ショートドラマを観ようと
ソファへ横になるのだが、
画面が開く前に寝落ちしてしまっていた。

晩ご飯もしっかり食べたから、
お腹の方も「もう休もう」と
言っているみたいだ。

明日も忙しい一日になる。
だから早く眠った方がいい。
でも、今日もほんの少しだけ、
自分へのご褒美が欲しかった。

そんなことを考えているうちに、
ショートドラマのサブスクの期限が、
あと二日で切れることを思い出した。
このまま一か月更新するか、
一度キャンセルするか。
それとも一年契約にして、気長に楽しむか。
いや、それは少しもったいないのではないか。

夜景を眺め、心地よい風に吹かれながら、
あれこれ考えていた。
「風さんはどう思う。
もうやめた方がいいかな」耳を澄ませる。
「え、何て言ったの。聞こえないわ」

そのとき、風がそっと
ささやいたような気がした。
「あなたの思うように
したらいいんじゃない。
風の向くまま、気の向くままに」

実は、私も同じことを考えていた。
だから一度キャンセルしてみよう。
そして、また観たくなったら、
そのときに申し込めばいい。

もし観られなくなったとしても、
その時間を別のことに使えばいい。
新しい楽しみや、
新しい発見に出逢えるかもしれない。

今夜の風は、本当に優しい。
まるで「今日も一日よく頑張ったね」と、
頭をそっと撫でてくれているようだった。
こんなに気持ちのいい夜風は、久しぶりだ。

今日のベランダは、最高のご褒美だった。
では、そろそろ私の今日の物語も
エピローグを迎える。

ほんの少しだけ、
ご褒美のショートドラマを楽しんだら、
今日という一日の最後の物語を、
もう一度ゆっくり振り返ってみよう。