コンビニに立ち寄った。
外を吹く風は涼しく、
いつもほどの暑さではなかったけれど、
それでも店内へ入ると、
冷たい空気にほっとする。
今日は考えることが多く、
思いを巡らせることも多かった。
そのぶん、心の奥まで満たされる、
充実した朝のウォーキングになった。
まだ家までの距離を
少し残しているというのに、
歩数計を見ると、すでに10 kmを超えていた。
持ってきたお茶も、
いつの間にか空になっている。
アイスコーヒーと、
最近お気に入りのバター餅を買い、
再び外へと歩き出した。
残すところ、あとわずか。
朝のウォーキングも終盤戦に入り、
ここでようやく、
今日は初めて『風が私を呼んでいる』を
ゆっくりと聴いた。
風が私を呼んでいる。
今朝の風は爽やかなだけではない。
時折、力強く私に向かって吹きつけ、
肩を撫でるように通り過ぎていく。
鳥が私を呼んでいる。
可愛らしいさえずりというよりも、
今日は少し力強い鳴き声の方がよく聞こえた。
これから暑い日中を迎えることを、
鳥たちはもう知っているのかもしれない。
その声に耳を澄ませていると、
私は自然の中で生かされ、
自然とともに日々を過ごしているのだという
実感が、静かに胸へと広がっていった。
雲が私を呼んでいる。
空をぎっしりと覆う、白い雲。
今日は神々しい太陽よりも、
静かに空に佇み、
言葉もなく私を魅つめている雲の方が、
主役なのかもしれない。
木々が私を呼んでいる。
照りつける太陽に乾ききったような
木々を見る日が多かったけれど、
今朝の緑は違っていた。
深く、深く、どこまでも深い。
眺めているだけで、
心の奥まで染み込んでくるような
緑が美しかった。
その木々が強い風に大きく揺れながら、
今日という一日の始まりを
祝福してくれているように見えた。
とても気持ちがいい。
何か素敵なことが始まりそうな、
静かな予感のする朝だった。
忙しいこともある。
細かな用事もある。
後回しにしたまま、
片付けなければならないことも残っている。
それでも、旅立ちが
一日延びたことで与えられたこの町での時間を、私は朝のあいだだけでも
心を大きく広げながら過ごしていた。
そして、いつものように、
朝の歩みを締めくくる
神社の境内へとたどり着いた。
今日は心残りのないように、
たっぷりと時間をかけて歩いたせいか、
いつもより少し遅い到着となった。
ベンチに腰を下ろすと、
境内の奥から僧侶の読経が聞こえてきた。
低く、静かに響く声。
その合間に、時折流れてくる鐘の音。
声と鐘の響きが重なるたびに、
張り詰めていた心が少しずつほどけていく。
仏様の御心に包まれながら、
新しい道がそっと開かれていくような気がした。私も静かに目を閉じ、
心の扉を開いた。
読経の声と鐘の音を胸いっぱいに受けながら、
目には見えない大きな御加護に
守られているような、心強さを感じていた。
さあ、家へ帰ろう。
仕事がたくさん待っている。
その前に、家族と笑顔で食卓を囲もう。
温かな時間を過ごしてから、
今日という一日の中へ出かけていこう。
今日の予定は、嬉しいことばかりではない。
少し面倒に思うこともある。
気の重い用事も待っている。
それでも、その時の私はきっと、
自分の足で地面を踏みしめ、
風を切りながら歩いている。
これまで歩んできた道のりを胸に抱き、
これから続いていく道を、
しっかりと魅つめながら。
風が私を呼んでいる。
鳥が私を呼んでいる。
雲が私を呼んでいる。
木々が私を呼んでいる。
そして、読経の声と鐘の音までもが、
「今日も、自分の道を歩いていきなさい」と、
私の背中を静かに押してくれているようだった。
私はその声を胸に受け止め、
今日という新しい物語へ向かって、
また一歩を踏み出した。
風と鐘の音に背中を押されて✨
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