朝から小さな寺へ詣で、法要を終えた。
仏様の御加護をいただき、
心を洗われるような時間の中で、
これまで歩んできた道のりを
静かに振り返った。
そして、また新しい一日へ向かって歩き出そう。そんな清々しい心持ちで、家へと帰った。
出かけるまでに
済ませなければならないことは
多かったけれど、
段取りはすでに頭の中で組み立ててある。
今日の計画は完璧なはずだった。
ところが、ふとウエストポーチの中を見ると、
コンビニで家族のために買った
バター餅がない。
「あら?」確かに買ったはずなのに、
どこを探しても見当たらない。
きっと、帰り道のどこかで
落としてしまったのだ。
一度は諦めようかと思った。
けれど、せっかく仏様の御加護をいただいて
持ち帰ったバター餅である。
このまま諦めるのも、
なんとなく心残りだった。
再び外へ出て、来た道を後戻りした。
すると、近くのコンビニの前に、
バター餅がぽつんと落ちていた。
見つけた瞬間、ほっとすると同時に、
なんだかおかしくなってしまった。
やっぱり、いつもの私である。
何もかも完璧だと思い、
自信を持って前へ進んでいると、
どこかで少しどんくさい失敗をしてしまう。
「しっかりしているようで、
どこか抜けている」
そう言われることが多いけれど、
抜けているというよりも、
少し慌てすぎてしまうのだと思う。
けれど、そんなところも私らしい。
そう思うと、自分の小さな失敗さえ、
少し愛おしく感じられた。
とはいえ、その寄り道で時間を取られ、
朝の支度は一気に慌ただしくなった。
まさに時間との戦いである。
家族とゆっくり食卓を囲むつもりだったのに、
落ち着いて過ごす余裕もなくなってしまった。
一度会社へ立ち寄る予定にしていたけれど、
もう時間がない。
予定を変更し、
そのまま直接、打ち合わせ先へ
向かうことにした。
昨日、急に入った予定は二件。
これから向かう先と、
その次の訪問先である。
後回しにしても、
いずれ行かなければならない。
それなら今日のうちに、
まとめて仕事を済ませてしまおう。
そう気持ちを切り替え、
慌ただしく家を飛び出した。
けれど、外へ出た瞬間、
涼やかな風が私を迎えてくれた。
今日も気温はそれなりに上がるようだけれど、
昨日ほどではないらしい。
柔らかく、爽やかな風が、
肌の上を静かに通り過ぎていく。
なんだか今日は、
いつも以上に風に
守られているような気がした。
支えられ、包まれ、
「大丈夫」と背中を
撫でてもらっているようだった。
バター餅を落とし、
慌てて引き返し、
予定どおりに進まなかった朝。
それでも、外の風に触れているうちに、
乱れていた呼吸が少しずつ整っていった。
体も、心も、ゆっくりと落ち着いていく。
そして気がつけば、
私は爽やかな笑顔で、
打ち合わせ先へと歩き出していた。
完璧ではなくてもいい。
少し遠回りをしても、
少し失敗をしても、
そのたびに拾い直し、
また前へ進めばいい。
今朝いただいた仏様の御加護と、
優しく吹く風を胸に抱きながら、
今日も私は、
自分らしい一日へ向かって歩いていく。
バター餅と、風に守られて✨
勃つねで応援-
-
共有で応援