心の重い朝を迎えた。

昨夜、最後の文章に添える画像、
文章の雰囲気にぴったり合う一枚を
頭の中で描いていた。

「シンプル is ベスト」
自分なりに、
とてもきれいに文章をまとめられた気がして、
少しだけ満ち足りた気持ちになっていた。
あとは、最後の画像を添えてアップするだけ。

そのつもりだったのに、
どうやら考えている間に、
そのまま眠ってしまったらしい。
ちょうどよい余韻の中で
締めくくりたかったのに、
最後の仕上げが朝へ持ち越されてしまった。
それが、なんとも残念でならなかった。

おまけに、
今朝は四十七分も寝坊してしまった。
頭の中では、
今日の予定を
きちんと組み立てていたはずなのに、
その思い描いていたスケジュールに、
身体がついてきてくれなかった。

目覚めた瞬間から、
心はどんよりと曇っていた。
「どうして、よりによって今日なのだろう」
そんな思いが胸に浮かび、
少しずつ自己嫌悪へと沈んでいった。

今日は、横浜へ旅立つ日。
本当なら、胸を弾ませ、
新しい風を迎えるような
爽やかな気持ちで目覚めたかった。

それなのに今朝は、なぜか行きたくない。
このまま、こちらにいたい。
慣れ親しんだ部屋の空気や、
窓の外に広がる朝の景色に包まれながら、
もう少しだけ動かずにいたい。
そんな気持ちが、
心の奥から静かに湧き上がっていた。

けれど、まだ朝は始まったばかりだ。
今、心に広がっている曇り空が、
今日一日のすべてではない。
昨日、私は「シンプルがいい」と書いた。
飾らず、肩肘を張らず、
素のままの私で歩いていこうと決めた。
それならば、今朝のこの冴えない気持ちも、
無理に打ち消さなくてもいいのかもしれない。

寝てしまった私も、
寝坊した私も、
旅立ちを少し躊躇している私も、
すべて同じ私なのだ。

朝から完璧でなくてもいい。
すぐに気持ちを切り替えられなくてもいい。
少しずつ、少しずつ、心を整えていけばいい。

午後、横浜へ向かうまでには、
まだ時間がある。
温かい飲み物を口にし、
窓の外の光を魅つめ、
今日の支度を一つずつ進めていこう。

焦らず、自分を責めず、
心の曇りが薄れていくのを待てばいい。

そして旅立つ時には、
無理に作った笑顔ではなく、
自然に前を向ける私でいたい。

昨日の物語は、
朝へ持ち越されたからといって、
失敗したわけではない。

最後の画像を思い描きながら、
眠ってしまったことも、
四十七分遅れて目覚めたことも、
昨日から今日へと続いていく、
私の物語の一部なのだ。

心の重い朝も、
少し遅れて始まった一日も、
そのまま抱えて歩き出せばいい。

風はきっと、曇った心を責めることなく、
今日の私に合った速さで、
また背中を押してくれる。
「今日も一日、よろしくお願いね!」と、
風に声をかけた。