やっと、旅立ちの荷物の
最後の仕上げまで終わり、
キャリーケースを閉じた。
私の心は、それまで何度も
行ったり来たりを繰り返していた。
けれど、
ファスナーが「シュッ」と閉まる音と同時に、
心の向きも横浜へ、
あの広い海へと切り替わったようだった。
こちらに残していく名残りを、
きっぱりと振り払うかのように。
13:00頃に出かける予定なので、
まだ少し時間がある。
着替えて、
ショートドラマでも観ようと思った。
昨夜も、ご褒美時間を楽しむつもりでいた。
ところが、
その時間にたどり着く前に、
いつの間にか眠ってしまっていた。
サブスクの期限は、
とうとう明日に迫っている。
先月は、知らないうちに
自動更新されてしまった。
先々月は、二週間の視聴期間から
一か月に切り替えた。
そして今月は、どうしようかと迷っている。
寝る前の心の拠り所というのか、
一日の終わりのご褒美は、やはり欲しい。
ただ、見放題とはいっても、
私が観ているのは、
自分の好きな一作品だけだ。
一か月に4,000円は、
少しもったいないようにも思う。
ましてや、
昨日のように眠たくて観られない夜もある。
忙しくて、観る時間がない日の方が多い。
結局、寝る前に30分ほど観るくらいしか、
時間は取れないのだから。
そんなことを考えながら、
ベランダに出て、
アイスコーヒーを飲んでいた。
外へ目を向けると、空は鮮やかに明るく、
とても美しかった。
けれど、暑い。
今日の最高気温は34度。
すでに、その一歩手前まで上がっている。
暑いはずだ。
それでも、その暑さの中を、
風がそよそよと渡ってくる。
ひとつ、またひとつと、
私のまわりへやってくる。
機械が送る風に当たるよりも、
自然の風の方が、
ずっと深く心に響く。
ふわり、ふわり。
どこからともなく、
風が次々と集まってくる。
もしかしたら、この風の中には、
横浜から私を迎えに来てくれた風も
いるのかもしれない。
そう思うと、今すぐその風に乗り、
空高く舞い上がり、
天翔けるように、
横浜の海まで行きたくなった。
そして、できることなら、
何より先に、あの場所のそばを食べたい。
風が迎えに来た日✨
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