少し早めに出たわけでもないのに、
ゆるりとホームへ向かったら、
着いたのは発車15分前だった。

特に急いだわけではなかったのだが、
今日はいつも乗る電車の、
私が好きな席が空いていなかった。
だから、15分後に出発する電車を
予約することにした。

駅の中は混雑していることが多いので、
少し早めに着くと安心ではある。
でも、暑い。
いつもならホームの売店で涼みながら
時間をつぶすのだが、
その売店は一か月ほど前から
正面入口を閉め切っている。
おそらく冷房効率を考えてのことなのだろう。

横の入口からしか入れないのだが、
その入口には15 cmほどの段差がある。
重たいキャリーケースを持ち上げて入り、
帰りもまた持ち上げるのは面倒だ。
だから、もう入らないことにした。

暑くても、ホームを吹き抜ける
風に当たりながら待つ方が、私には心地よい。

風は時折、ふわりと吹いてくる。
電車がホームを離れるたび、
そのタイミングに合わせるように、
またふわり。
ほんの一瞬だけ、涼が頬をなでていく。

目の前のホームから電車がいなくなると、
その空いた空間へ、
あちらこちらから風が流れ込んでくる。
どこから集まってくるのだろう。

その風を楽しんでいると、
ほんの少しだけ海の香りを
感じたような気がした。

空を見上げる。眩しいほど青い空。
透き通るように白い雲。
本当に綺麗だ。
でも、やっぱり暑い。

今日は「親子丼の日」らしい。
「085」を「おやこ」と読む語呂合わせから、
親子丼のおいしさを広めること、
そして夏場に落ち込みがちな卵の消費を促し、
スタミナをつけてもらいたい
という思いを込めて制定されたそうだ。

でも、もし卵の消費が
落ち込んでいるとしたら、
それは夏場に食欲が落ちるからではなく、
落ち込むどころか、
ぐんぐん上がっていく
卵の値段のせいではないだろうか。

そんなことを考えているうちに、
私が予約した電車が
ゆっくりとホームへ滑り込んできた。
ちょうどハンカチを取り出し、
額の汗を拭いていたところだった。

早く涼しい車内で、
ほっとひと息つきたい。
でも、その前に。
イングリッシュマフィンサンドを食べる。

海の香りを乗せた風は、
もう私を横浜へ迎えに来てくれているかしら…