お客様とお別れして、
外で写メ日記をアップしてから、
待機所へ戻った。
メイクを直し、晩ご飯のおにぎりを食べる。
今日は、私の大好きなモチュッパおにぎりを
持ってきていた。
やっぱり美味しい。
けれど、この一個が
今日の最後の晩餐なのかと思うと、
なぜだか少しだけ寂しい気持ちになった。
食べ終わり、ごろんと横になった、
そのときだった。
お店からメールが届いた。
どうやら、お仕事が入ったらしい。
ご予約までには三十分ほど時間があった。
ちょうどお客様との時間が終わる頃には、
私の帰る時間になっているような
気がしたので、
今日一日を過ごした私のスペースを
片づけ始めた。
荷物をまとめ、
身の回りをきれいに整え、
戻ってきたらすぐに帰れるようにしてから、
ホテルへと向かった。
また、「千鳥」を聴きながら歩いた。
外は、もうすっかり暗くなっていた。
大通り公園の中も闇に包まれていたけれど、
街灯の柔らかな明かりに照らされた木々は、
昼間よりもずっと深い緑に魅えた。
その深い、深い緑のトンネルを
くぐるように歩いていると、
何でもないはずの道が、
どこか物語の中へと続いているようで、
とてもロマンティックだった。
そして、次のドアが開きました。
そこには、
優しい笑顔がとても素敵なあなたがいた。
とてもフレンドリーに迎えてくださる、
その気さくな雰囲気に触れた途端、
私の心も自然とほどけていった。
ソファに横並びに座り、
自己紹介をするように、
いろいろな話をした。
あなたは、とても遊び心のある人だった。
お話を聞いているだけで楽しくて、
何度も笑ってしまう。
これから始まる時間も、
きっと盛り上がって、
心躍るようなひとときになるのだろう。
そんな予感が、胸の奥で静かに膨らんでいた。
私の方から、あなたにそっと触れていった。
どこに触れても、
あなたは素直に感じてくださる。
その反応が嬉しくて、
私はいつしか夢中になっていた。
「俺の横に来て」そう言われて、
あなたの横へ行き、
肌を寄せ合うように横になった。
今度は、あなたの手が私にそっと触れる。
その手はとても優しく、温かかった。
触れられるたびに胸が高鳴り、
いつの間にか、
私の心も身体も、
そのぬくもりに包まれていた。
そしてまた、私はあなたへと触れていく。
お互いのぬくもりを確かめるように、
めくるめく時間を過ごした。
やがて静けさが戻ると、
私はあなたの腕枕の中で、
あなたの胸の鼓動を聞いていた。
確かに伝わってくる鼓動。
まだ身体に残るぬくもり。
言葉を交わさなくても、
あなたと過ごした時間の余韻が、
静かに私を満たしていた。
そんなふうに、ゆっくりと夜は流れていった。
あなたとお別れして外へ出ると、
雨が降っていた。
それほど激しい雨ではなかったけれど、
少しだけ傘が
欲しくなるくらいの降り方だった。
まさか雨が降るとは思っていなかったので、
私は傘を持っていない。
仕方なく、途中にあるいつもの場所で
雨宿りをしながら、写メ日記を書いた。
空を見上げ、あなたと過ごした素敵な時間を、
もう一度ゆっくりと思い返す。
すると、風がすうっと吹き抜けていった。
一度だけではなく、
少しずつ勢いを増しながら、
何度も私のそばを通り過ぎていく。
雨に濡れた身体に風が触れると、少し寒い。
それでも、昼間のあの暑さを思えば、
これくらいの涼しさがあっても
いいのかもしれない。
雨と風に包まれながら、
私はしばらく、
あなたとの余韻の中に立っていた。
やがて雨脚が、少しずつ弱くなってきた。
今なら、濡れずに戻れるかもしれない。
それでは、そろそろ待機所へ戻ろう。
今夜のぬくもりを胸に残し、
雨に洗われた夜の道を、
吹き抜ける風とともに歩いていこう。
雨にほどける夜✨
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