オアシスタイムを優雅に過ごしながら、
汗が引くまで、のんびりとテレビを観ていた。

けれど、身体は休んでいても、
頭の中までは休んでくれない。
どうしても今日中に
済ませなければならない作業がある。
おそらく二時間ほどはかかるだろう。
12:00からの出勤では、
落ち着いて取り組めそうにない。
いっそのこと、
出勤時間を一時間ほど遅らせてもらおうか。
そんなことを考えながら、
私はのんびりしているつもりだった。

でも実際には、
頭の中だけが忙しく動き続けていた。
とりあえず、
パソコンを立ち上げてメールを確認する。
すると、思わず目を疑った。
二時間はかかると思っていた作業のほかにも、
今日中に
済ませておかなければならない用事が、
いくつも届いていた。

「うわあ……」思わず頭を抱える。
せっかくのオアシス時間が、
せっかくのオアシス時間が、
一瞬にして砂漠化してしまった。
その砂漠化に腹を立てたのだろうか。
いつもはあれほど優しかった風までが、
猛烈な砂嵐となり、
私の頭の中を激しく吹き荒れている。

困った。
今度は、この荒れ狂う風をなだめ、
砂嵐を収めなければならない。
そのためにできることは、ただ一つ。
目の前に積み上がった仕事を、
一つずつ片づけていくことだけだった。
これらのタスクをすべて片づけ、
気持ちよくお店へ出勤するには、
どうすればいいのだろう。

仕事だけで三時間はかかりそうだ。
それに、メイクや着替えなど、
自分自身の支度もある。
四時間は欲しい。
せめて三時間半でもいい。
頭の中では時間の計算が
ぐるぐると回り続けていた。

明日へ持ち越したくはない。
となると、やはりお店に連絡して、
出勤時間を
遅らせてもらうしかないのだろうか。
でも、当日になって急に予定を変更するのは、
できるだけ避けたい。

どうしよう。
そう迷っていた、ちょうどそのときだった。
13:30から、ご予約をいただいた。

思わず心の中で、「ラッキー」と飛び跳ねた。
ご予約をいただいているのなら、
出勤時間を少し遅らせてもらうことも、
なぜだか言いやすい。

すぐにお店へ連絡し、
出勤時間を13:30へ変更してもらった。
これで、一時間半の余裕ができた。

たった一時間半。
でも、今の私にとっては、
とても大きな一時間半だった。

とにかく、頑張って今日中にやりきろう。
それにしても、
どうして、よりによって今日なのだろう。

寝不足だから、
今日はゆっくり睡眠貯金をするつもりだった。
しかも、ショートドラマの
サブスクは解約してしまったので、
観られるのは明日のお昼まで。
昨夜は帰りが遅く、
ご褒美時間を取ることができなかった。
だから、今日が最後のご褒美時間になる。

けれど、今夜そこまで
目を開けていられるかどうか、自信はない。
眠気に負けてしまうかもしれない。

それでも、今は先のことを
考えすぎても仕方がない。
まずは、目の前にあるものから。
一つずつ。
焦らず、でも止まらず。
砂漠になってしまったオアシスを、
もう一度、自分の手で潤していこう。

今日という時間を取り戻す方法は、
目の前の一つを
丁寧に終わらせることから始まる。