14:00からご予約をいただいていたので、
30分ほど前にお店に着いた。

いつもの場所に今日の居場所を確保して、
ごろんと横になる。

天井を魅つめながら、
今日お逢いするあなたは、
いったいどんな人なんだろう。
まだ顔も知らないあなたを
思い浮かべているだけなのに、
胸の奥が少しだけドキドキしていた。

そして、時間になり、ホテルへと向かった。

外は、すごく暑い。
大通り公園を歩いていても、
吹いてくるのは、
ほんのかすかな風だけだった。

風さんは、お昼寝中なのだろうか。
それとも、この暑さに参って、
どこか涼しい場所で
ひと休みしているのだろうか。

そんなことを考えながら、
あなたのもとへ向かう。

そして――今日、最初のドアが開きました。
そこにいたのは、
とてもおしゃれな雰囲気のあなた。
優しい笑顔で迎えてくださった。

「綺麗な人でよかった」
そんなことを言われたものだから、
すっかりその気になってしまって、
私は早速、舞い上がっていた。

そして、「今日は、自分へのご褒美で」
そう話してくださったあなたの言葉が、
なぜだかとても素敵に聞こえた。
自分へのご褒美かぁ。
だったら私、頑張らないといけないわ。
そんなことを心の中で密かに思いながら、
私の方からそっとあなたに触れた。

私のぬくもりを、
とても素直に受け止めてくださるあなた。
それが伝わってくることが、
むちゃくちゃ嬉しかった。
そして今度は、あなたから私へ。
優しいタッチに身を委ねているうちに、
私の方まで心地よさに包まれてしまった。

あれ?あなたにご褒美を
届けるつもりだったのに。
もしかしたら、
ご褒美をもらっていたのは、
私の方だったのかもしれない。

年齢も同じくらい。
なんとなく会話のリズムも合って、
言葉を交わすたびに
距離が自然と近くなっていった。
気づけば、2時間なんて本当にあっという間。

いろいろな話をして、
知らない町の話を聞いて、
そこに吹いている風まで想像して。
部屋の中にいながら、
あなたと一緒にいろいろな場所を
旅したような気分になっていた。

今日、あなたが自分のために選んだ
「ご褒美」の時間。
その時間の中で、私もまた、
素敵な出逢いというご褒美をいただいた。
だからきっと、ご褒美は、
どちらか一人が贈るものではなかったのね。

あなたから私へ。私からあなたへ。
そんなふうに、
そっと行ったり来たりしていたのだと思う。

ホテルを出ると、風はぐんぐんと吹いていた。
あら、風さん。
いつの間に起きたの?
ぐっすりお昼寝をして、
すっかり元気を取り戻したみたいに、
今度は勢いよく私のまわりを吹き抜けていく。

その風に吹かれながら歩いていると、
なんだか今の私の心みたいだと思った。
素敵な時間を過ごして、
いっぱい笑って、
心まで軽やかになって。

来るときには眠っていた風が、
帰り道にはこんなにも元気に吹いている。
もしかしたら風さんも、
私と一緒に
いい気分になってくれたのかもしれない。

またお逢いできる日を、楽しみにしています。
そのときは今日よりもう少し、
あなたのことを知ることができますように。