昨夜の宴の余韻を、
頭と胸にまだそっと残したまま、
私は今日も4:00に目を覚ました。
1:00ごろまで、
笑い、語り、飲み、楽しい時間に
身を委ねていたのだから、
今朝はきっと、
重たい頭とお腹を引きずる
朝になるだろうと思っていた。
けれど、朝は不思議だった。
あれほど身体に入れたはずのものが、
夜のどこかへ
溶けていってしまったかのように、
私は驚くほど静かに、
すっきりと目覚めていた。
それでも、今日だけは、
いや、今日もなお、
どうしても歩きたかった。
朝の道を歩きながら日記を書くことが、
いつしか私の日課になっていた。
ただ前へ進むためではなく、
風を感じ、
空を仰ぎ、
街の息づかいに耳を澄ませ、
五感に触れたものを言葉に変えていくために、
私は歩いているのだと思う。
歩き始めの空気は、
生ぬるく、まだ少し重かった。
薄暗さの残る道を進みながら、
昨夜のこと、
昨日のこと、
今日のこと、
明日のこと、
その先のことまで、
さまざまな場面が
頭の中をぱたぱたと流れていった。
私はそれを考えていたのではない。
ただ、心の奥の
小さなスクリーンに映る映画を、
黙って魅ていた。
馬車道のゆるやかな坂を上がり、
新港中央広場の入り口に差しかかったとき、
世界がふいに開いた。
視界が明るくなり、
その瞬間、風が吹いた。
強く、まっすぐに。
ああ、私の朝が来たのだと思った。
風が、私のまわりに集まってくる。
雲が私を呼んでいる。
木々が私を呼んでいる。
目の前にあったのは、ただ自然の風景だった。
けれどそれは、
どんな映画の一場面よりも、
深く、
まっすぐに、私の心を打った。
光があり、風があり、空があり、緑がある。
その真ん中を通る細い道が、
自然の奏でる奇跡の場所へと、
私を誘ってくれているようだった。
ひまわりが揺れる。
サルスベリが手を振る。
ガウラが白く可憐に微笑む。
ヒマワリモドキが、元気をくれる。
忘れ草は、あでやかな姿のまま、
昨日の良き思い出だけを胸に残して、
悲しみや重たさはここへ置いていきなさいと、
私にささやく。
ほんの数メートルの花の道だった。
けれどその小さなトンネルを抜けるあいだに、
私の心の曇りは少しずつほどけ、
朝の光を受け取るための土壌が、
身体の内側に
静かに整えられていくようだった。
そして、花の道を抜けた先で、
真正面から風が吹いてきた。
その風は、私の身体に触れ、
そのまますうっと中へ入り込み、
全身を巡っていくようだった。
毎日通る道なのに、
今日はじめて、
その道が私を癒し、
整え、
朝へ連れていってくれているのだと感じた。
やがて向かった先は、私のパワースポット。
その途中、
いつもは右にある太陽ばかりを
追っていた私の目が、
今日は左側の景色を見つけた。
風力発電の設備、ビル、工場らしき建物。
その上に浮かぶ雲が、
朝の光を浴びて、
少しずつピンクゴールドへと染まってゆく。
風を力に。
光を力に。
そこにあったのは、
今日の私の心そのもののような景色だった。
パワースポットに着いたとき、
風はやさしく私を包み、
朝の光は正面から降り注ぎ、
私は光のベールに抱かれていた。
ふわりと持ち上げられ、
そっと清められていくようだった。
そして、心は無になった。
さあ、今日の物語を始めよう。
私はまた、新しい一歩を歩き出す。
花風の小径💐
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