いつ頃から眠っていたのだろう。
ふと目を覚ますと、
列車はもう、この町の駅へ
滑り込もうとしているところだった。
「よく寝たなあ」小さく息をつきながら、
ゆっくりと体を起こす。
電車を降りると、
朝の日差しが驚くほど眩しかった。
乗り込んだ頃には、
まだ夜の名残が残っていたのに、
眠っているあいだにも
朝は静かに歩みを進めていたらしい。
降り注ぐ光が、
過ぎていった時間を
教えてくれているようだった。
お盆のせいだろうか。
まだ朝早い時間だというのに、
駅はたくさんの人であふれていた。
普段なら目につくビジネス姿の人は少なく、
キャリーケースを引く人や、
大きな荷物を抱えた家族連れが多い。
誰もが、観光や
帰省へ向かう途中のように見えた。
ほかの人から見れば、
私もまた、帰省してきた人のように
映っているのかもしれない。
でも、考えてみれば、
これも確かに帰省と言えなくはない。
そう思うと、なんだか可笑しくなって、
ひとりでくすっと笑ってしまった。
人混みに揉まれながら、
私は駅の外へ、掃き出されるように流れ出た。
その途端、朝の太陽が
まっすぐに降り注いできた。
あまりの眩しさに、
私は光を遮るように額へ手をかざした。
すると今度は、
こちらの風が、
待ちかねていたように
私の周りへ集まってきた。
前から、後ろから、右から、左から。
四方八方から駆け寄ってきた風の中へ、
横浜から私と一緒に旅をしてきた風も、
そっと合流する。
いくつもの風から、
「おかえりなさい」と迎えられた
ような気がした。
その歓迎の言葉があまりにも嬉しくて、
私の髪も、その気持ちに応えるように、
朝の光の中で軽やかになびいていた。
5日に旅立ってから、四日ぶりに帰ってきた。
見慣れた街並みを眺めながら
胸に広がっていたのは、
やっと帰ってきたという安堵と喜び。
そして同時に、
また四日後には旅立つのだという、
早くも膨らみ始めた期待だった。
帰ってきた安心と、次の旅へのときめき。
そのどちらも大切に抱きしめながら、
私の胸は、
四方八方から集まってきた朝の風で、
今にもあふれそうになっていた。
風たちの「おかえり」✨
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