今日、宿泊する予定のホテルに着いた。
講演会の受付は15:00からだけれど、
始まるのは16:00。
ならば、そんなに急ぐ必要はない。
まずはチェックインをして荷物を置き、
部屋でゆっくり涼んでから、
ぎりぎりに会場へ向かうことにした。
私がいつもぎりぎりにしか現れないことは、
みんなもうよく知っている。
だからなのだろう。
会場へ行けば、
いつも誰かが私の席をちゃんと
取っておいてくれる。
ありがたいような、
すっかり行動を読まれているような。
ホテルの客室に入った。
それほど広くはないけれど、
余計なもののないシンプルな部屋で、
なかなか居心地がいい。
一人で一晩泊まるには、
これくらいがちょうどいい。
カーテンを開けると、
窓の向こうには都会の街並みが広がっていた。
照りつける夏の日差しを
受けたアスファルトが、
熱をそのまま空へ跳ね返しているようで、
外は見るからに暑そうだった。
けれど、その都会の風景の中を、
一本の川が静かに流れている。
ビルとビルの間を縫うように流れる水。
その川沿いには緑の木々が並び、
灼けつくような街の中に、
そこだけ自然がそっと
「涼」を描いているようだった。
木々が揺れている。
私の風だ。
きっと建物の中までは入ってこられないから、
川辺の木々をゆらゆらと揺らしながら、
水面の上で少し涼みながら、
「まだ出てこないの?」とでも言うように、
私を待っているのだろう。
もう少し待っていてね。
今は、ここで少し身体を休ませたい。
これから一時間ほど、
じっと座って講演を聴かなければならない。
今さら二時間弱…
ただ黙って座り続けるというのも、
なかなか疲れそうだ。
寝るわけにもいかないし。
こっそり日記でも書いていようか。
そう思ったけれど、
たぶん両隣には知り合いが座る。
ふとした拍子にスマホの画面を覗かれて、
私が何を書いているのか見られでもしたら、
それはそれで大変だ。
となると――
おとなしく講演を聴いているふりをしながら、
静かに目を閉じている方が
いいのかもしれない。
それならひょっとすると、
睡眠貯金まで増やせるかもしれない。
窓の外では、
風がまだ木々を揺らしている。
講演が終わる頃まで、
そこでのんびり待っていて。
そのあとはまた、
私と一緒に夜の街へ出かけよう。
窓の外で待つ風✨
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