ふっと目を覚ました。
そして、最初に浮かんだのは、
「ここはどこ?」という疑問だった。
そうだ。
昨日から一泊の出張で、
ホテルに泊まっていたんだ。
そう気づくまでに、
一分ほどはかかっただろうか。

さすがに「私は誰?」とまでは
思わないけれど、
最近は目を覚した瞬間に、
「ここはどこ?」と思うことが、
ずいぶん増えた。

自宅。
出張先のホテル。
横浜のお部屋。
お店に出勤した時の待機所。
電車の中。

いろいろな場所で眠っているから、
身体の方も、
「今日はどこで起きるの?」と、
少し混乱しているのかもしれない。

昨夜は、あのチグハグな五人組で過ごした、
チグハグで、愉快で、楽しい夜だった。
久しぶりのメンバーで、
みんなではじけてしまったものだから、
ついつい飲み過ぎた。

だから今朝は、少し頭が重い。
これを、二日酔いというのであろう。
時計を見ると、すでに7:00。
今日は久しぶりに、
朝のウォーキングはお休み。
そんな日があってもいい。
というより、
今日はそんなことをしている余裕がない。

今から支度をして、
会社へ向かわなければならない。
11:00からの会議に出なければならないから、
遅くとも9:30頃には
ホテルをチェックアウトした方がよさそうだ。

昨夜、遅くまではしゃぎすぎたせいか、
胃のあたりも少し重い。
朝は、あまり食欲がなさそう。
だから無理にホテルで食べずに、
どこかでパンでも買って、
会社に着いてから
遅めの朝食をとることにしよう。

11:00からの会議が終われば、
次は13:00から打ち合わせ。
それが終われば、
また会社に戻って、
少しだけデスクワークをして、
残っている仕事を片づけなければならない。
明日から、盆休みだから…

そう考えると、
自宅へ帰るのは17:00頃に
なるのではないかしら。
そして帰りには、デパ地下に寄ろう。
鰻の蒲焼きを買って、
晩ごはんは、またうな重。
私はもちろん十割そばも買って、
うな重そば。

そこまで考えたら、
急に身体のスイッチが入ったような気がした。
早く起きよう。
早くお風呂に入ろう。
早くホテルを出る支度をしよう。
さっきまで、少し重たかった頭の中が、
次にやることを考え始めた途端、
もう前へ進みたくて仕方がなくなってきた。

私の風は、
きっとホテルの入口で待っていてくれる。

昨日の夜、川の上ではしゃいでいた風が、
今朝は少しおとなしく、
「そろそろ行く?」と
待っているような気がする。
また一緒に帰ろう。
向こうの町へ。

そして今日の新しい物語は、
西の方のホテルで、
「ここはどこ?」と
目を覚ましたところから始まった。