動きすぎて、また汗をかいてしまった。
だから、もう一度ベランダに出て、
夜風に当たっている。
もうすっかり夜の帳が降りて、
あたりは真っ暗。
遠くには、街の明かりが
色とりどりに瞬いている。
「夜景」と呼ぶほど
煌びやかなものではないけれど、
私はこんなベランダから眺める
夜の景色も好き。
何といっても、夜風が気持ちいい。
汗ばんだ肌を撫でながら、
風が、「お疲れさま。
今日は早く寝る予定だったんでしょう。
そろそろ寝たほうがいいよ」なんて、
私に話しかけているような気がする。
なのに私は、その少し前まで、
せっせと服の入れ替えをしていた。
いつもは長袖か七分袖のブラウスに、
タイトスカートという服装が多い。
これまではそれほど苦にならなかったし、
日焼けもしないから、
むしろ長袖のほうが都合がよかった。
でも、ここ最近はさすがに暑い。
ブラウスが肌にべたべたとくっついて、
もう暑くてしょうがない。
そこで、半袖やノースリーブのブラウス、
薄地のスカートを引っ張り出した。
「もう少し早くやっておけばよかった」
そう思いながら、
気がつけば1時間半ほど頑張っていた。
でも、考えてみれば悪くない。
明日の休みにやろうと思っていた仕事を、
今日早めに帰って片づけた。
その代わり、
明日やろうと思っていた服の入れ替えを、
今日やってしまった。
どちらも、だいたい1時間半から2時間。
つまり、今日と明日の予定を、
そっくり入れ替えただけ。
そう考えると、
なぜだか少し得をしたような気分になった。
しかも、服を出したり
片づけたりしている間に、
家のことも着々と進んだ。
やってよかった。
そんな小さな満足感に浸りながら、
今、こうして夜風に吹かれている。
本当なら、ここで
ご褒美のショートドラマを
30分ほど観たいところ。
でも、サブスクの更新は我慢している。
だったら、名探偵コナンでも
ゆっくり観ようかな。
……でも、コナンを観ていると、
なぜかまた何かしたくなってしまう。
次に手を出すとしたら、アイロンかけかな。
そう思っている時点で、
たぶん私は、今夜もじっとしていられない。
いつも、せわしなく動いている私。
そんな私だからこそ、
風に憧れるのかもしれない。
風は急いでいるようで、急いでいない。
どこかへ向かっているようで、
行き先さえ決めていないように見える。
ただ、ゆっくり、ゆったり、
自分の行きたいほうへ空を舞っている。
私も、風になりたい。
何もしない時間さえ楽しめるくらい、
心に余白を持って。
今夜くらいは、
風に「もうおしまい」と言われるままに、
この一日を
そっと閉じてもいいのかもしれない。
それでもきっと明日になれば、
私はまた、せわしなく動き始める。
だから今だけは――風になったつもりで、
夜の中を、ゆっくり漂っていよう。
風になりたい夜✨
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