引き続きご予約をいただいていたので、
次のホテルへ向かわなければならなかった。

でも、その前に、
どうしても少しだけお昼ご飯を食べたかった。
お昼用に、大好きなモチュッパで作った、
少し大きめのおにぎりを一つ。
おにぎりシートに包んで、
バッグの中にこっそり忍ばせていた。

「今のうちに食べてしまおう」
そう思ったものの、
次のご予約までは、あと5分しかない。
しかも、ゆっくり食べられそうな
場所が見つからない。
困った、困ったと思いながら、
ホテルとホテルの間にある細い路地へ入り、
並んでいた電動自転車のそばに、
こっそり身を潜めることにした。

ちょうど荷物を置けるところもあって、
両手が空いた。
これはちょうどいい。
そう思って、おにぎりシートを開き、
海苔を巻いたおにぎりを急いで頬張った。

ところが、少し大きめに
作ってしまったものだから、
5分で食べ切るのは、なかなか大変。
急いで食べているうちに、
喉に詰まりそうになってきた。

そんなときだった。
いきなり、若い男性に声をかけられた。
「お姉さん、今から時間ある?」
おにぎりを頬張っていた私は、
あまりに突然のことで、
思わず、「は?」と聞き返した。

すると彼は、
「お姉さん綺麗だから。時間ある?」と、
もう一度。
いやいや、時間なんてあるわけがない。
私はおにぎりを片手に、
「私、今からこのホテルに行くね」と答えた。
すると今度は、
「その後、空いてる? どこのお店の人?」
と聞かれた。

そのときは、とにかく次のご予約に
間に合わなければ、
ということで頭がいっぱいだったから、
そのままお別れしたのだけれど。
あとになって、
「あのとき、
ちょっと宣伝しておいたらよかったかな」
なんて、少しだけ後悔した。

それでも、ナンパされるというのは、
やっぱりちょっぴり嬉しい。
ただ一つ残念だったのは、
せっかくの大好きなモチュッパおにぎりを、
まったく味わえなかったこと。

あんなに急いで
食べるつもりじゃなかったのにな。
そんな、慌ただしくて、
ちょっと可笑しい5分間を終えて。

そして、次のドアが開きました。
迎えてくださったのは、
とても穏やかで、優しくて、
どこか上品な雰囲気のあなた。

物静かで落ち着いていて、
なんとなく「素敵な上司」
という言葉が似合いそうな方だった。

「はじめまして。森村です。
よろしくお願いします」
そうご挨拶しながら、
私はあなたにそっと抱きついた。
それが、私たちの初めましてのご挨拶。

それからソファーに横並びに座って、
少しお話をした。
穏やかな話し方と、静かな空気。
初めてお逢いしたはずなのに、
なぜか居心地がよかった。

私はお風呂に入り、
そして、あなたの待つベッドへ。
あなたから、いくつかのリクエストを聞いた。 

だから私は、あなたの様子を見ながら、
優しく、優しく。
柔らかく、柔らかく。
ゆっくり、ゆっくり。
そんな気持ちで、あなたに触れていった。

するとあなたは、体を小さく揺らしながら、
「気持ちいい」と、何度も言ってくださった。
そして、「こんなに優しいの、
柔らかいの、初めて」
そう言って、とても喜んでくださった。

その言葉が、私はすごく嬉しかった。
もっと心地よく感じてもらえたらいいな。
そう思っているうちに、
私まで夢中になって、
ずっとあなたに触れていたような気がする。

眼鏡を外したあなたのお顔も、
とても素敵だった。
穏やかで、優しくて。
でも、それだけではない、
ふっと心を惹かれるような表情。

初めましての時間だったけれど、
静かで、柔らかくて、
心地よいひとときだった。

また、あの柔らかな時間が
恋しくなったときには、ぜひ誘ってね。
またお逢いできる日を、楽しみにしています。