今日は社内で
情報セキュリティ関係のいろいろがあり、
13時から17時まではオフィスにいてください、と言われていた。
そして13時。
容赦なく始まった。
さっきまで味わっていた鰻の余韻など、
楽しんでいる暇もない。
ああ、疲れた。
とにかく17時までは
オフィスにいなければならない。
途中、ぽっかり時間が空くこともあったので、
その隙に溜まっていた仕事を
片づけることにした。
パソコンの前にじっと座り、
普段ならなかなか手をつけられない
細かな作業を一つ、
また一つ。
サクサク進む。
進めて、進めて、リズムに乗って——
そこで見つけた。
うっかり案件。
しかも今度のうっかりは、ちょっと大きめ。
うーん。
でも、今さらどうしようもない。
ここは開き直るしかない。
とりあえず報告書を書こう。
この報告書だけを見たら、
もしかすると誰もうっかりに
気づかないかもしれない。
あわよくば、このまま気づかれませんように。
そんなことを思いながら報告書を書いた。
もし気づかれて何か言われたら、
そのときの言い訳も一応考えてある。
だから、
この「大きめのうっかり」そのものは、
それほど悩むことでもない。
私が引っかかったのは、そこではなかった。
この案件をやることを忘れていたこと。
そして——やることを忘れていたことすら、
忘れていたこと。
こっちだった。
なんで忘れたんだろう。
ちゃんとスケジュールにも書いていた。
それなのに、
いつの間にか頭の中から
すっぽり抜け落ちていた。
何か急なことでもあったのだろうか。
考えてみても、今となっては思い出せない。
ただ、ひとつ思い当たることはある。
最近の私は、
日記を書くことが楽しくて仕方がない。
心に映った景色を拾い、
言葉にして、ひとつの物語にしていく。
それに夢中になっている。
そして仕事も、日々のことも、
あれをやろう。
これもやろう。
次はこれ。
その次はあれ。
やる、やる、やる、やる——。
いつの間にか私は、
「やること」ばかりを増やして、
「考える時間」を
置き去りにしていたのかもしれない。
今日見つかったうっかりは、
そんな私に神様が、
「ちょっと、走りすぎてるよ」と肩をぽん、
と叩いてくれたのかもしれない。
一つひとつを、もう少し丁寧に。
確実に。
そして、時には立ち止まって全体を見渡す。
やることメモも、
ただ慌ただしく書き足すのではなく、
落ち着いて時間をとって作ろう。
手帳もしっかり見よう。
そして何より、
自分の予定を眺めながら、
何をするのか。
何をしないのか。
何を大切にするのか。
それをゆっくり考える時間を持とう。
17時を過ぎ、ようやくオフィスの外へ出た。
ふわり。
風さんがやってきた。
「あ、風さん。なんだか久しぶり」
「そうだね。だいぶ仕事、
頑張ったみたいだね」
「そうなのよ。でも仕事を頑張ると、
いっつもうっかりが
出てくるような気がするな」
すると風さんが、少し呆れたように笑った。
「だって、
あっちもこっちもやりすぎじゃない?
もう少しやることを削って、
ゆっくり考える時間を
持つのもいいんじゃない」
うん。
確かに、風さんの言う通り。
心で決めて、前向きに進んでいる。
そして私は、
どうやらいろんなことをするのが好きらしい。
それなら、それでいい。
でも——
どこかで「やりすぎ」の
警戒アラートが鳴る仕組みくらいは、
自分の中につくっておこう。
今日のうっかりは、
失敗を悔やむために見つかったのではない。
走ることに夢中になっていた私を、
ほんの少し立ち止まらせるために
見つかったのだ。風
さんに吹かれながら、そう思った。
さて。明日からは、
やる、やる、やる——の、その前に。
考える。
うっかりが鳴らした警戒アラート⚠️
勃つねで応援-
-
共有で応援