お店でお部屋の鍵を受け取り、
いつもの道を歩き始めた。
お店からお部屋までのこの道を、
いったい何度往復したことだろう。
久しぶりに横浜へやってきた今日。
見慣れているはずの風景が、
なぜだかとても眩しく目に映った。
伊勢佐木モールに入り、
お部屋の入口近くまでやってくる。
ふと、目の前の木を見上げた。
堂々とまっすぐに立ち、
両手を空いっぱいに広げるように
枝を伸ばしている。
なんだか以前より、
自信に満ちているように見えた。
やはり、本来の名前を
取り戻したからなのかしら。
そのお手伝いがほんの少しでも
できたのだと思うと、
私までちょっと誇らしい。
「よかったね」心の中でそう声をかけて、
お部屋へ入った。
どうやら、私のほかには
まだ誰も入っていないらしい。
いつものお部屋の扉を開けると、
そこには私が三日前に
出ていったときのままの匂いが残っていた。
なんだか嬉しい。
そして、ほっとする。
たった三日ぶりなのに、
その三日間にできていた空白が、
すーっと埋まっていくようだった。
部屋の空気を大きく吸い込む。
ああ、ここだ。
私が三日前までいたお部屋だ。
あの日は早朝からの地震に驚き、
怖さを感じながら、
いつもより早く起き出して
朝の支度をしていた。
それさえも、
つい昨日の出来事のように思える。
不思議だ。
11日間の横浜ステイ。
そして、今日から始まる6日間の横浜ステイ。別々だったはずの二つの時間が、
この部屋の空気を吸い込んだ瞬間、
一本の糸で結ばれたような気がした。
嬉しい。
またここで、
私の一日の物語を紡ぐことができる。
朝4:30に起きて、
まだ眠っている街へ出て、
歩きながら心に響いたものを拾い集めよう。
できることなら、この6日間、
一日も休まず紡いでいきたい。
部屋を片づけ終えると、
時刻は17:10を回っていた。
18時からご予約をいただいている。
少し早めにお店へ行こう。
今日はそれほど長く
待機することもなさそうだから、
居場所だけ確保して、
ゆっくり構えていればいい。
そしてまた始まる。
心に響いた風景。
ふと見上げた空。
そして、あなたと過ごす、ときめきの時間。
そんな一つひとつを、
また言葉にして残していけることが、
今はとても楽しみだ。
前の11日間から渡された物語の糸を、
この6日間へ。
さあ、この横浜ステイは、
いったいどんな色に染まっていくのだろう。
どんな風景に出逢い、
どんな物語が生まれるのだろう。
まだ何色にも染まっていない六日間が、
今、私の目の前に広がっている。
そろそろ、お店へ向かおう。
お部屋を出て扉を閉め、外へ出た。
その瞬間だった。
待っていたかのように、
風さんたちがふわっと
私のまわりへ集まってきた。
「おかえり」そう言われたような気がして、
思わず笑った。
うん、ただいま。
また今日から、よろしくね。
風さんがそっと背中を押す。
さあ、横浜ステイの始まり。
まだ何色にも染まっていない六日間へ、
今、最初の一歩を踏み出そう。
物語の続きを紡ぐ場所へ✨
勃つねで応援-
-
共有で応援