横浜ステイの一番最初は、
一週間ぶりのあなたとの再会だった。
今日来るよ。
そう聞いていたから、
私はあなたに逢えることを楽しみにしながら
横浜へやってきた。
そして、ようやく逢えたあなたと、
語り合い、杯を傾け、
また語り合い、また杯を傾ける。
振り返ってみれば、
ずっと二人で喋って、
飲んでいたような気がする。
そう言う私に、
「いつもそうだろう」あなたは笑った。
確かにそうね。
あなたといると、話が尽きない。
一つの話からまた一つ、
その先からまた次へ。
時計の針だけが、
私たちを置いて先へ進んでいく。
そしてあなたは、
「また僕のところへ帰っておいで」
そう言って、
今日二度目の予約を取ってくれた。
嬉しかった。
一度お別れするのに、
今夜またあなたに逢える。
なんだか今日は、
ずっとあなたと一緒にいるような気がした。
でもその前に、
もう一つのドアが私を待っている。
次にお逢いするあなたは、初めましての方。
どんな方なのだろう。
どんな時間になるのだろう。
夜風に吹かれながら歩いていると、
少しずつ胸がドキドキしてきた。
「それじゃあ風さん、私、行ってくるわね。
待っててね」そう声をかけると、
風さんは返事をするように、
ぶわっ。
ぶわっ。
強く、強く、私の顔へ吹きつけてきた。
髪が大きくたなびく。
その風を受けているうちに、
頭の中がだんだんすっきりしてきた。
「今日の風さんたち、ちょっと生ぬるいわね」
そう言いながらも、
私の心には、
さっきのあなたとの時間が残してくれた
深紅色がまだ鮮やかに灯っている。
その色に包まれたまま、
風さんと一緒に次のホテルへ向かった。
そして――次のドアが開きました。
目に飛び込んできたのは、
真っ白なお洋服。
その爽やかなコーディネートと同じくらい、
爽やかな笑顔のあなたが迎えてくださった。
「初めまして」ご挨拶をして、
改めてあなたのお顔を見る。
あら。
なんだか、すごく若い。
年齢をお尋ねしたけれど、
どうやら私の頭は引き算を
拒否していたらしい。
まあ、いいか。
そんなことより、
話してみると不思議なくらい会話が合った。
話して、
笑って、
また話して。
初めましてだった二人の間にあった
わずかな距離が、
言葉を交わすたび、少しずつ近づいていく。
それがなんだか嬉しかった。
やがて私の方から、そっとあなたに触れる。
「お姉さん、色っぽい」
「綺麗」そんな言葉をもらって、
すっかり舞い上がってしまった私。
嬉しくなって、
いつの間にかあなたの肌に触れることに
夢中になっていた。
そして今度は交代。
あなたの優しい手が私に触れる。
その温かさに包まれているうちに、
まるでお酒を飲んだわけでもないのに、
心までほろ酔いになっていくようだった。
すらりと伸びたあなたの腕に抱かれながら、
なんだか真夏の夜の夢を見ているみたい。
そう思った。
お若いのに落ち着いていて、
お話も上手。
そして、最初から気になっていたのが、
あなたのファッションだった。
真っ白な装いも素敵だったけれど、
バッグも靴も
それぞれがきちんと調和している。
なかなかのおしゃれさんね。
そんなことを思いながら過ごした、
年下のあなたとのランデブー。
話すことにも、
触れることにも、
笑うことにも、
いつの間にか夢中になっていた。
そして、気づけば時間が過ぎていた。
最後にもう一度、
あなたの装いへ目を向ける。
白い衣に描かれていた、
手描きのようなデザイン。
赤。
黄色。
緑。
鮮やかな色たちが、
真っ白な生地の上で自由に踊っていた。
綺麗。
そう思った瞬間、
ふと今日の空を思い出した。
横浜へ来たばかりのとき、
私の目の前に広がっていたのは、
まだ何色にも染まっていない
空色のキャンバスだった。
そこへ最初に描かれたのは、
あなたとの再会がくれた深紅色。
そして今度は、
真っ白なキャンバスの上に、
赤、黄色、緑。
思いもしなかった鮮やかな色が、
次々と踊り始めた。
まるで、初めましてだった
あなたと私の時間そのもの。
最初は白かった二人の間に、
言葉が色を置き、
笑顔が色を重ね、
触れ合う温もりが、
また新しい色を生んでいった。
六日間のキャンバスは、
始まったばかりなのに、
もうこんなにも色鮮やかだ。
そして今夜は、まだ終わらない。
このドアを出たその先には――
もう一度、
深紅色の君との再会が待っている。
白いキャンバスに踊る色✨
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