深紅色の君との再会を楽しみに、
私はまたホテルへと向かっていた。
今になってようやく気づいたけれど、
あたりにはもうすっかり夜の帳が下りている。
街中のネオンが、きらきらと眩しい。
赤、黄、緑。
さっき私がいただいた
色鮮やかな時間と同じように、
夜の街もまた鮮やかな色を纏って輝いていた。
ふわふわ、ふわふわ。
後ろから、置いてきぼりにされたと思った
風さんが慌てて追いかけてきた。
そして私のまわりを、くるくると回る。
「なんだかすごく鮮やかで眩しかったから、
一瞬誰だかわからなかったわ」
そう言われて、思わず笑った。
「そう?きっと、さっき素敵な色を
たくさんいただいたからだと思うわ」
そう風さんに答える。
「あ、そうだ。私、ビールを頼まれているから、ちょっとコンビニに寄るわね」
ビールとハイボール。
それから少しだけおつまみを買って、
また風さんと一緒に、
あなたが待っているお部屋へ向かった。
さっき鍵を預かっていたから、
今度は私が扉を開ける。
中へ入ると――
あなたは、ぐっすり眠っていた。
寝不足だと言っていたものね。
せっかく気持ちよさそうに眠っているのに、
起こすのも気の毒だと思って、
私はしばらくそのままにしておいた。
テレビをつけて、一人でビールを開ける。
今日選んだのは、
先日その名前に心惹かれたビール。
「時の誘惑」
そして、
「余韻に浸る贅沢」
まさに今の私、そのものだった。
横浜へ着いてすぐにあなたに呼んでいただいて、
飲んで、
語って、
笑って。楽しい時間をずっと一緒に過ごした。
そして延長までしていただいた。
それだけでも嬉しかったのに、
「また僕のところへ帰っておいで」
そう言って、もう一度呼んでくれた。
そして今。私は本当に、
あなたのもとへ帰ってきた。
ぐっすり眠っている
あなたの寝顔を眺めながら、
一人でビールを飲む。
チーズたらをつまみながら。
ビールは「時の誘惑」という名前の通り、
少しぞくぞくするような味わいだった。
そしてチーズたらも、なかなかいい。
よく見ると、
商品名には「贅沢なチーズたら」
と書いてある。
一口サイズに切られたタラの間に、
分厚いチーズ。
これはもう、チーズたらというより、
ほとんどチーズじゃない。
なんて思いながら、また一口。
あなた、いつ起きるのかしら。
そう思いながら、
しばらく私は一人で「時の誘惑」を
味わっていた。
そして私が、余韻に浸る贅沢を
そろそろ終えようとした頃。
あなたが目を覚ました。
「お、帰ってきてたのか」
「うん。なんだか起こすのが気の毒になって」
そんな言葉を交わしながら、
今度は二人でまた乾杯。
そして始まった、あなたとの第二部。
また飲んで、
また語って、
また笑って。
楽しい真夏の夜が、もう一度動き始めた。
そして、あなたに抱きしめられる。
その腕の中で、
私はまたあなたの真心を感じていた。
胸にうずくまりながら、
なんだか自分の色が、
少しずつあなた色へ
変わっていくような気がした。
深紅色。
でも、最初の深紅色よりも、
さらに濃く、
さらに深く。
一度離れたからこそ、
もう一度帰ってきたことが嬉しい。
あなたのもとへ、
本当に帰ってきたような気持ちだった。
この時間をあなたと一緒に過ごせたこと。
ただそれだけで、心が満たされていく。
今日は本当に、
贅沢な時間をありがとう。
またお逢いできることを、
楽しみにしています。
あなたとお別れしてホテルを出ると、
風さんが待っていた。
「今日一日、お疲れさま」
そして私の顔を見るなり、
「でもあなた、
とっても素敵な色を纏っているわ。
輝いているわよ」
うふふ。
「そうでしょ」
私はそう答えて、
また風さんと一緒に
お店へ向かって歩き始めた。
夜の街のネオンに照らされながら。
今日、最初に描かれた深紅色は、
夜が深まるほどに、
私の心の中で、
さらに濃く、さらに深くなっていた。
深紅色は、さらに深く✨
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