さあ、今日という一日へ出勤しよう。
元気いっぱいにホテルへ向かった。

日差しは雲に少し隠れ、いつもより柔らかい。
風がそよそよと
前から後ろへ吹き抜けていく中、
風さんだけは私の横に並んで歩いている。

「風さん、なんだかワクワクするわね。
ドキドキするわね」
「そうだね。
どんな世界が開けるか楽しみだね」
ふふっ。
私の気持ち、よくわかってくれているのね。

大通り公園の木々も、
柔らかな日差しを浴びて、
今日はいつもより優しい緑色に魅えた。
これが「目に優しい色」
というものなのだろうか。
緑に目を洗われ、
視界まですっきりしたところでホテルへ到着。

そして――今日、最初のドアが開きました。
迎えてくださったのは、
なんとも愛嬌のあるお顔のあなた。
「はじめまして」そうご挨拶すると、
返ってきたのは、
ちょっぴり面倒くさそうなお返事だった。

あら。でも、なんだか憎めない。
ソファに座り、
いろいろ話しかけているうちに、
短かった返事が少しずつ長くなっていった。
一つ話してくれる。
また一つ。
いつの間にか、
ご自身のことを
いろいろ聞かせてくださっていた。

その飾らないまっすぐさが、
なんだかとても可愛らしい。
優しく包んであげたいような気持ちになった。

ゆっくり触れながら、
「気持ちいい?」そう尋ねると、
「うん、うん」短い言葉が返ってくる。
その素直な響きがまた可愛らしくて、
いつの間にか私まで
「かわいい、かわいい」と笑い、
名前にも「ちゃん」をつけて呼んでいた。

そして私も、
あなたの心のこもったぬくもりを
いっぱいに感じた。
でも、一番心に残ったのは、
やっぱりあなたのまっすぐな心だった。
ぎゅっと抱きしめる。
胸から伝わってくる鼓動。
その瞬間、なんだかとても愛おしくなって、
そっと頭を撫でた。

そこからまた話が始まった。
最初とは別人のように口数が増え、
いろいろなことを話してくれる。
私も笑い、頷き、時には共感しながら、
その言葉を受け取っていった。

そうか。
これも今朝見つけた「魅る」と「創る」
なのかもしれない。
最初から、
この時間の色は決まっていなかった。
私はあなたを魅た。
あなたも少しずつ心を開いてくれた。
そして二人で言葉を交わしながら、
まだ何色でもなかった時間に、
一色ずつ色を置いていった。

気がつけば、二人の世界には、
薄墨色の雲の隙間から
一筋の金色の光が差しているようだった。
そういえば今日、
ホテルからいただいた
フェイスパックもゴールド。
だから余計に、そう感じたのかもしれない。

「では、また待っていますね。元気でね」
そう言って、あなたと別れた。

外へ出ると、風さんがやってきた。
さあ、このまま
次のあなたとの待ち合わせ場所へ向かおう。
でも、まだ少し早い。
それなら――ちょっとだけ、
日記を書いていこうかな。

今日最初に生まれた金色の余韻を、
もう少し心の中で楽しみながら。