公園のベンチで写メ日記を書き上げ、
あなたとの待ち合わせ場所へ向かった。
遠くからでも、すぐにあなただとわかった。
あなたも私に気づき、手を振ってくれた。
その笑顔を見た瞬間、心がふっとほどけた。
ずっと楽しみにしていた時間が、
ようやく始まる。
遅めのランチは、
こぢんまりとした少しおしゃれなお店へ。
「私、カウンターの方が好き」
そう言って、あなたと横並びに座った。
ビールで再会の乾杯。
あなたとは、何度逢っても話が尽きない。
私が何を話しても、あなたは知っている。
あなたが話すことにも、
不思議なくらい私の心が重なっていく。
ふと横を向けば、すぐそこにあなたの横顔。
こちらを向いて話すあなたの吐息が、
時折そっと耳に触れる。
近い。
でも、その近さがとても心地よかった。
そして二人で、次のドアを開けた。
部屋にはゆったりとしたソファ。
まるで、
「さあ、続きをどうぞ」
とでも言われているみたいだった。
ハートランドを頼み、
おつまみをつまみながら、
またおしゃべりが始まる。
話題はあちらへ、こちらへ。
二人の言葉が、
まるでオーケストラの楽譜の上を
自由に飛び回っている。
何杯おかわりしたのかさえ、
もう二人ともわからない。
長い時間を取ってくださっていたはずなのに、
延長して、また延長して。
いったい私たちは、
何時間一緒にいたのかしら。
それなのに不思議だった。
長かったはずの時間は一瞬で、
でも心の中では、
まるで一日中あなたと一緒にいたようだった。
ギュッと抱きしめられた。
あなたに魅つめられた。
私もあなたにしがみついた。
このままずっと、ここにいたい。
離れたくない。
言葉になる前の気持ちが、
胸の中いっぱいに広がっていた。
そして別れ際、あなたが聞いた。
「今日の僕たちの時間は、何の色?」
うーん、わからないな。
そう答えながら、少し恥ずかしくなって、
「恋の色」と答えた。
その時は、
なぜその言葉が出てきたのかわからなかった。
けれど、あとになって思った。
私たちのそばには、
ずっとアフロディーテがいたのだと。
海の泡から生まれた、愛と美と魅惑の女神。
海の泡の白。
やわらかな真珠色。
頬を染めるようなローズピンク。
そして、楽しかった時間の余韻に残る金色。
きっと恋の色とは、一つの色ではない。
心が近づくたびに色を変え、
重なり、溶け合い、
最後には名前のつけられない
色になっていく。
だから私は、あの時、
「恋の色」
と答えたのかもしれない。
初めて逢ったのは八月の初め。
今日で四度目。
逢うたびに心と心が少しずつ近づき、
あなたの不思議ちゃんと、私の不思議ちゃん。
その二つの不思議な謎が、
少しずつ解けていく。
「また来るからね」
その言葉を胸に、あなたと別れた。
余韻を抱いたまま、
次のホテルへ向かって歩いていると、
風さんがやってきた。
ふわふわふわ。
「よかったね。」
今日は、それだけ。
風さんは私の顔を見れば、
もう全部わかっていたのかもしれない。
そう一言だけ残して、
またどこかへ飛んでいった。
あなたは、恋の色✨
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