長い1日が終わろうとしている。

朝から私は、いったいどれだけのものを
心に迎え入れただろう。
けれど不思議なことに、
今振り返ってみても、
ひとつひとつの出来事を
数えたいとは思わない。

嬉しかったこと。
胸が弾んだこと。
誰かの温もり。
何気ない言葉。
笑顔。
風。
光。
そして、少しだけ心を揺らしたもの。

それらはもう、
それぞれ別々の出来事ではなくなっていた。
私の中へ入って、混ざって、溶けて、
今日というひとつの色になろうとしている。

私は最近、
心の中に生まれた小さな新芽を
大切に育てていこうと思った。
けれど今日、その新芽に必要なものは、
自分から探し回らなくても
いいのかもしれないと思った。

人と逢えば温もりがやってくる。
空を見れば光がやってくる。
歩けば風さんがやってくる。
心を開けば、
思いもしなかった感動までやってくる。
私はただ、それをちゃんと受け取ればいい。

そして受け取ったものを、
知識のようにしまっておくのではなく、
私の中で考え、感じ、染み込ませ、
いつか自分の生き方へ変えていけばいい。
今日という一日も、きっとそうだった。

いよいよ私の今日一日の物語も、
最終章に入ろうとしている。
最後に残ったのは、ひとつの色ではなかった。

胸が高鳴る色もあった。
優しさの色もあった。
爽やかな恋心の緑もあった。
ビールの小麦色もあった。
そして最後には、
妖艶な月の光まで私の中へ差し込んできた。

でも、それらを一本ずつ並べて眺めてみても、
今日という日は見えてこない。
きっと今日の色は、
それらすべてが私の中で溶け合った色。

誰かにもらった色ではない。
景色から借りてきた色でもない。
今日一日を生きた私にしか作れない、
私だけの心色なのだと思う。

だから私は、
今日を終えることが少しも寂しくない。
今日出逢ったものは、
今日と一緒に消えてしまうのではなく、
私の中へ還っていくのだから。

そして明日の朝、
また新しい景色の前に立ったとき、
今日までの私とはほんの少し違う私が、
そこに立っているのだろう。

そうやって人は、
一日ずつ自分を作っていくのかもしれない。

今日もたくさん笑った。
たくさん感じた。
たくさん心を動かした。
それでいい。
むしろ、それがいい。

さあ――最後のページはどう書き記そうか。
今日という一日を、
私はまたひとつ、
私の中に生きる色へと変えた。
そしてその色を抱いて、
明日の私は、
また新しい一歩を踏み出していく。