10時少し前。
ちょっと早いけれど、
寄りたいところを思いついて、
10分ほど早く家を出た。

朝の涼しい風とは違って、少し生ぬるい。
それでも昨日の暑さよりはずいぶんましで、
ビルとビルの間を吹き抜けていく風が
心地よかった。

今日、どうしても会社へ
出なければならないのは、
10時半からの打ち合わせだけ。
よく知っている
業者さんとの打ち合わせだから、
いつもとはがらりと装いを変えた。

ホワイトデニムに、
黒のぴたっとしたTシャツ。
そしてお気に入りの少し大きめの黒いカバス。
ノートパソコンも資料も、
必要なものをガバガバ入れられる。
この気取らなさが好きなのだ。

今日はVAIOとお別れして、
Let’s noteへ替わる日。
充電器まで入れたカバスは、
やっぱりかなり重たい。

なのに、不思議。
今朝はその重さがあまり気にならない。
きっと、心のほうが軽いから。

9月1日。
今日は亡き母の誕生日。
朝から家族と一緒に、
せっせとお供え物を飾った。
そして離れて暮らす家族からも、
思いがけず嬉しいメッセージが届いた。

またいつか、
前のようにみんなで一緒に暮らせたらいいな。
そんな小さな願いを胸に抱くと、
ビルの間を抜けていく風まで、
明るい希望を運んでくる風のように思えた。


今日は、会社に行けば、
レッツノートがやってくる。
さあ、早速、あれをやっちゃおう。
と、やりたいことを、頭で思い描いた。
そんなことを考えるだけで、
また一つ楽しみが増える。

夕方からは、
今朝とはまるで違う私になる予定だ。
少し優雅なディナーへ向けて、
帰ったら恒例の一人ファッションショーを
始めなくては。
朝からおしゃれに
気合いを使い切らなかったのは、
そのためでもある。
今日のドレスアップの気合いは、
午後まで大切に取ってあるのだ。

もちろん、本来の目的は仕事。
それでも、仕事の中に
自分なりの楽しみを見つけてしまうのが私流。
褒めてもらえたら嬉しい。
その一言が、
また明日からの自分を磨く力にもなる。

そう考えると、
今日という9月1日は、
朝からいくつもの嬉しいことが重なり、
そしてこの先にもまだ楽しみが待っている日。

だから、今日という日に
名前をつけてあげたくなった。
信号待ちで、ふと顔を上げる。
信号機の向こうに、
一本の百日紅がすくっと立っていた。

濃い桃色のかわいらしい花を
いっぱいにつけて、
空へ向かってのびのびと咲き誇っている。

ああ、そうか。
今日という日は、きっとこんな色なのだ。
まだ何もかも始まったばかり。
それなのに、胸の奥には、
これから何か嬉しいことが
起こりそうな気配が、ふわりと咲いている。

9月1日。
桃色予感の記念日。