越。

今日、この一文字を選んだのは、
ただ何かを乗り越えたかったからではない。

朝から目の前に積み上がっていた仕事の山。
ひとつ片付け、
またひとつ片付け、
気づけば、
あれほど高く見えていた山は
すっかり低くなっていた。

不思議なもので、
私は山があると少し燃える。
簡単に越えられる山より、
少し高くて、
どこから登ろうかと
考えさせられる山の方が
好きなのかもしれない。

どこから手をつけるか。
何を先に終わらせれば、
次が楽になるか。
どの順番なら、
最後まで気持ちよく進められるか。

そんなことを考えている時間も、
私にとってはひとつの楽しみなのだと思う。

だから今日の「越」は、
ただの達成ではない。
考え、選び、進み、その先へ行く。
そんな一文字。

午前の山を越えたら、
午後にはまた別の山が待っている。

仕事だけではない。
暮らしの中にも、
心の中にも、
小さな山はいくつもある。

でも、山があるからこそ、
その向こうの景色に出逢える。
高ければ高いほど、
越えた時に魅える空はきっと広い。

だから今日も、
私は立ち止まらずに進んでいく。

一歩ずつ。
私の歩幅で。
そして、越えた先にある新しい景色へ。

越。

その一筆に、

今日の私を込めて。

山越えて
なおその先を
魅つめゆく
秋風ひとつ
背中を押せり

— Morimura