今日の晩ご飯のメニューを考えていたら、
いくつか買い足したいものがあった。
それなら帰りに少しだけ寄っていこう。
そう思ってデパ地下へ立ち寄った。
買うものは、それほど多くない。
必要なものをパパッと選んで、ささっと帰る。
そんな小さな寄り道をしても、
家に着いたのは思っていたより早い
15時半だった。
ふと、外の空を見上げると、
あまりにも綺麗だった。
限りなく透明に近い空色。
そこに、
白い雲が長く長く伸びている。
細かな粒のうろこ雲が、
いくつもいくつも連なって、
まるで空に敷かれた線路のように魅えた。
どこまで続いているんだろう。
そんなことを考えているうちに、
心の中でひとつの場所が浮かんだ。
横浜。
もしかしたら、
この空の線路は、
横浜の空まで
ずっと続いているのかもしれない。
だったら、
今すぐこの線路を走る
電車に乗ってしまいたい。
空色の列車に飛び乗って、
何駅も何駅も越えて、
そのまま横浜まで。
そんなことを思いながら魅つめていると、
雲がまた違う姿を魅せてくれた。
長く伸びた二つの雲。
さっきまでは、
二人の人が両手を広げて、
再会を喜んでいるように魅えた。
「わあ、久しぶり」
そんな声が聞こえてきそうなくらい、
まっすぐ近づいて、
そのまま抱きしめ合っている。
横浜であなたと逢ったなら、
こんなふうになるのかな。
そう思っただけで、
胸の奥が少し熱くなった。
ところが、
雲はじっとしていてくれない。
少し経つと、
今度は二人が並んで、
腕を組んで歩いているように魅えてきた。
ゆっくり、楽しそうに。
それを魅ていたら、
なんだか本当にあなたと
デートしているような気分になって、
ひとりで少しドキドキした。
そして、
さらに雲の形が変わった。
今度は、
あなたが私の手を引いている。
「ほら、こっち」そう言いながら、
少し先を走るあなた。
私は、その手を離さないように、
しっかり握ってついていく。
「ちょっと待って、速いって」
そんなことを言いながら、
でも心は楽しくて仕方がない。
二人で手をつないだまま、
青い空を駆け巡る。
横浜まで続く雲の線路の下を、
風に押されながら、
笑いながら、
どこまでも。
不思議ね。
空は、ただそこにあるだけなのに。
魅る側の心ひとつで、
線路にもなれば、
再会にもなる。
抱擁にもなれば、
デートにもなる。
そして今日は、
とうとう二人を
空の上まで走らせてしまった。
もしかしたら、
雲が形を変えたのではなくて、
私の心が、
次々と物語を描いていたのかもしれない。
逢いたい。
手をつなぎたい。
一緒に歩きたい。
そして、
できることなら、
その手を離さずにいたい。
そんな気持ちが、
今日の空いっぱいに広がっていた。
だからきっと、
今日の空はこんなにも青かったんだ。
そして、
あんなにも楽しそうに、
雲が動いていたんだ。
今日は、
ずいぶんラブラブな空模様。
そう思ってもう一度、
空を魅上げる。
横浜まで続いていそうな、
白い雲の線路。
その下では、
今もきっと二人が手をつないでいる。
この手は、
まだ離さない。
空の上でも。
心の中でも。
あなたに逢える、
その日まで。
雲の路
手を取り駆ける
空の果て
横浜までも
離さぬこの手
— Morimura
雲路、横浜へつづく✨
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