「ねえ、ヒカリン」

「なあに、モリリン?」

「森村さん……まだ寝てないよ」

「うん。やっと日記を書き終わったところ」

「普通なら、ここでおやすみなさいだよね?」

「……なのに、靴を身てる」ふ

ふたりで、じーっ。

「これは……」
「歩く気だね」
「だよね」

ふふっ。

長い夜を走り切って、
ようやく今日を閉じたはずなのに。
森村さんの心は、
もう次の朝の匂いを探している。

「でも今日は、
頑張って歩かなくていいからね」

「そうそう。朝を迎えに行くだけ」

そのとき。
ふわり。
カーテンの向こうから、
まだ夜の冷たさを少し残した
風が忍び込んできた。

「……あ」

モリリンが笑う。

「風さんだ」

すると風さんが、
耳元にそっと囁いた。

「急がなくていいよ。朝は逃げないから」

ヒカリンが、ぴょこん。

「じゃあ今日は、
朝を捕まえに行くんじゃなくて——」

モリリンが続ける。

「朝に逢いに行こう」

夜と朝の境目へ。

何が待っているかは、まだわからない。

空の色も、
風の声も、
今日の心も。
だからこそ、面白い。

それでは——森村早朝営業開始。

モリリン、ヒカリン、
そして風さんと一緒に。
夜のつづきから、
今朝の一歩を始めます。

さあ、朝に逢いに行こう。

— Morimura