歩き始めた頃、
昨日はまだ私の中で眠っていなかった。

新しい朝なのだから、
心も真っ白になっているはずだった。
けれど見上げた空には、
白い余白の奥から、
静かに燃えるようなピンクの光が滲んでいた。

激しく燃え上がる炎ではない。
声高に何かを求めるものでもない。
ただ深く、静かに、
心と心がつながったところで
消えずに灯り続ける炎。

ああ。

これは昨日の余韻なのだと思った。

逢うたびに違う表情を知る。
逢うたびにぬくもりを知る。
逢うたびに、もう一度その人に心が動く。
逢うたびに、また恋をする。

そんな恋って、いいな。

そう思った瞬間、

昨夜の時間は思い出ではなく、
まだ胸の中で
静かに息をしているものになった。

余白へ向かう朝なのに、
私はまだ余韻を手放したくなかった。

それでいい。
今朝は昨日を消して始める朝ではなく、
昨日の灯りを抱いたまま
歩き出す朝なのだから。