「ヒカリン! ヒカリン! 大変!」

「どうしたの、モリリン?」

「森村さん、のれんが下ろせないみたい!」

「えっ! まだお客様がいらっしゃるの?」

「ううん。お仕事は終わったの」

「じゃあ、どうして?」

「幸せの余韻がいっぱいで、
のれんが引っかかっちゃってるみたい!」

「まあ! それは重症ね!」

そうなのだ。
本日、開いたドアはひとつ。
けれど、その向こうには、
なんと6時間もの物語があった。

飲んで、食べて、笑って、甘えて。
おまけに日本酒一杯で、
唐の都・長安まで心の旅!

「モリリン!
森村さん、横浜に帰ってきたの?」

「大丈夫! ちゃんと帰ってきたわよ!」

「よかった!
じゃあ、のれんを下ろしましょう!」

「せーの!」
よいしょ!するり。

「ふうっ! 本日も無事閉店!」

「あら、モリリン!
森村さん、まだニコニコしてる!」

「仕方ないわよ。
幸せの余韻は時間外営業中なんだもの!」

ふふふっ。
遠くから逢いに来てくださったあなた。
今日も素敵な時間をありがとう。

森村、本日ののれんを下ろします。

お仕事は終了。
でも、心の中はまだまだ営業中!


【秋の一首】

のれん閉じ
秋の夜更けに
残るもの
君の笑顔と
尽きぬ温もり

— Morimura