長い一日が終わろうとしている。
今夜の私の胸には、
賑やかさよりも、
そのあとに訪れる静かな温もりが残っている。
人と逢うことは、
相手のことを知るだけではないのだと思う。
その人と一緒にいるときの自分に、
思いがけず出逢うことでもある。
いつの間にか肩の力が抜けて、
素直に笑って、
嬉しいと思うことを、
嬉しいままに受け取っていた。
そんな自分が、
今夜は少し愛おしい。
そして、もうひとつ。
「比翼鶴」という日本酒の名から、
ふと心に浮かんだ
「比翼の鳥、連理の枝」
白居易の『長恨歌』、
玄宗皇帝と楊貴妃が願った、
時を越えても寄り添いたいという
悲しくも美しい愛のロマン。
千年以上も昔の恋物語が、
一杯の日本酒から、
今夜の私の心にそっと舞い降りた。
けれど、今の私は思う。
永遠という言葉は美しい。
でも、永遠を願うからこそ、
今、この瞬間が愛おしいのではないだろうか。
人の心は不思議なもの。
ほんのひと言で温かくなり、
小さな優しさで満たされ、
たったひとつの笑顔が、
いつまでも胸に残る。
そんな幸せを、
今日は改めて教えてもらった気がする。
そして今夜、
私の心に残っているのは、
何かを求める気持ちではなく、
ただ、ありがとうという想い。
今日という日は、
もう二度と戻ってこない。
けれど、
今日の私が感じた温もりは、
明日の私の中にも、
きっと静かに息づいている。
そう思うと、
一日を終えることが、
少しも寂しくない。
さあ、今日の物語も
そろそろ最後のページ。
比翼の鳥が、
遠い空へ羽ばたいていく。
私はその姿を心に描きながら、
静かに目を閉じる。
今日も、心いっぱいに生きられた。
それだけで、十分。
おやすみなさい。
【秋の長歌】
秋の宵
胸に残れる
比翼鳥
千年越えて
風は吹く
君のぬくもり
手に宿る
今を抱きしめ
夜の静けさ
【反歌】
比翼なる
鳥を思えど
この胸は
今宵のぬくみ
ただ抱きしめる
— Morimura
秋宵、比翼の余韻を抱いて|心に灯るもの
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