そして、
象の鼻パークの橋の上。
東の空に、
不思議な光が灯っているのを見つけた。
あっ。
ピンクの炎。
ちょうどそこだけが、
ぽわんと明るくなり、
炎のように揺らめいている。

激しく燃え上がる炎ではない。
柔らかく。
優しく。
静かに。
それでいて、
内側には熱く深い想いを秘めている。

私はその光を魅つめながら、
ふと、あなたへの想いを胸に抱いた。
早く逢いたい。
そんな気持ちが、
静かにこみ上げてくる。
そうか。
恋心を胸に抱いていると、
魅るものすべてに
その想いが重なっていくのかもしれない。

今朝のふたつの星も。
クスノキの女神も。
そして、このピンクの炎も。
景色が恋を語っているのではない。
恋する私の心が、
景色の中に物語を見つけているのだ。
そう思った。

やがて、大さん橋へ。
空はすっかり明るくなっていた。
けれど、今日の空は、
ただの青ではない。
東から昇る太陽の光が、
まるで無数の星屑を
空いっぱいに散りばめたように輝いている。

群青の世界で出逢った
白い星たち。
その輝きが、
夜明けとともに溶け込んで、
淡い群青の空を
生み出したようにも魅えた。

ああ、なんて美しいブルー。
私はいつの間にか、
4日ぶりの心のサンクチュアリーに
たどり着いていた。

目の前には、
朝陽を受けて輝く海。
水面には光の筋が走り、
無数の小さな粒が揺れている。
キラキラ。
ゆらゆら。
その輝きは、
今朝の私の心のきらめきと
重なっているようだった。

そうね。

今日という一日も、
こんなふうに過ごしていきたい。

風の吹くまま。
水の流れるまま。
無理に流れに逆らうことなく、
それでも自分の心の輝きを
失わずにいたい。

そして、
あなたと過ごす時間には
ときめきと安らぎを感じ、
胸の奥に、
あの柔らかなピンクの炎を
そっと灯していたい。

今、私の心には
真っ白な余白が広がっている。

この余白には、
今日という時間が
どんな色を描いてくれるのだろう。

そして一日の終わり。
私の群青鏡には、
どんな心模様が映っているのだろう。

そんなことを考えるだけで、
今日という一日が楽しみになった。

やがて、大さん橋も終わりに近づいてきた。

ふと目を向けると、
そこには一本の帯のように伸びる
大さん橋のラインがあった。

ああ。

私はようやく、
長い心の旅から
地上へ帰ってきたようだ。

今朝は星たちに誘われ、
遠い歴史を旅し、
女神に願いを託し、
海に自分の心を映してきた。

けれど、今、
私の足元には、
確かな大地がある。

夢を見ることも素敵。
そして、
その夢を胸に抱きながら
現実の一歩を踏み出すことも、
きっと同じくらい素敵なのだろう。

ふわり。

海からの風が、
最後にもう一度、
私の頬を撫でていった。

ねえ、風さん。

今朝も素敵な旅をありがとう。

さあ、行こう。

心には群青の夢を。
胸にはピンクの炎を。
そして足元には、確かな大地を。

今日という一日は、
まだ始まったばかり。

私はゆっくりと前を向いた。
地に足をつけて。

それでも心には、
いつでも風が通り抜けられる
小さな余白を残しながら。

— Morimura