森村のれん下ろします|群青の扉も、そっと閉じて✨
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「ヒカリン! ヒカリン! 大変!」
「どうしたの、モリリン?」
「森村さん、やっと起きた!」
「えっ! 今、何時?」
「23時40分!」
「ええっ! もう今日が
終わっちゃうじゃない!」
そうなのだ。
今日は、あれからずっと
静かな時間が続いていた。
お仕事のドアは開かず、
私はというと、
またまた群青の世界へ。
そう。
若様の待つ扉を開けたのだ。
ところが……。
せっかく扉を開けたというのに、
どうにも物語に入り込めない。
若様のお顔を眺めながら、
心は群青の世界を彷徨っているのに、
身体はどうやら
夢の世界へ行きたがっているらしい。
結局、1時間ほどで退散。
そして、また眠ってしまった。
途中、何度か目を覚ました。
けれど、
もう少しだけ……。
そう思っているうちに、
また夢の世界へ。
そして、ようやく目が覚めた。
時計を見る。
23時40分!
ええっ!
慌てて起き上がり、
大急ぎであと片付けを始めた。
「ねえ、モリリン」
「なあに?」
「今日の森村さん、いったい何時間寝たの?」
「うーん。全部合わせたら8時間くらいかな?」
「ええっ! そんなに?」
「しかもね、
今日はアイマスクを忘れてきたんだって!」
「まあ! アイマスクがなくても、
こんなに眠れるのね!」
あはは。
確かに、そうかもしれない。
今日は結局、
お仕事のドアは開かなかった。
けれど、
眠りの扉だけは何度も開いたらしい。
こんな日もある。
賑やかな日があれば、
静かな日もある。
誰かと語り合う夜もあれば、
自分の心と向き合う夜もある。
そして、
何も考えず、
ただ眠りに身を委ねる日だって。
今日の私は、
どうやら身体が休息を求めていたらしい。
それなら、それでいい。
一日を何かで埋め尽くさなくても、
静けさの中で過ごす時間にも、
きっと意味があるのだろう。
さあ、
今夜はこれでおしまい。
「モリリン、若様はどうするの?」
「群青の世界で、また待っていてくださるわ」
「じゃあ、明日こそ最後まで観られるかな?」
「それは森村さんの眠気次第ね!」
うふふ。若様の物語にも、
私の物語にも、
まだまだ続きがある。
今夜はここで、
そっと栞を挟んでおこう。
森村、本日ののれんを下ろします。
秋の夜に
眠りの扉
また開き
群青の夢
明日へとつなぐ
— Morimura