「ヒカリン! ヒカリン! 起きて!」

「どうしたの、モリリン?」

「森村さん、もう起きちゃった!」

「えっ! 今、何時?」

「午前4時!」

「あら! 今日はアラームと同時なのね!」

そうなのだ。
午前4時。

アラームが鳴ると同時に目が覚めた。
どうやら私の心は、
眠っている間も空を恋しがっていたらしい。

真っ先にベランダの窓を開ける。
ひんやりとした秋の夜気。
見上げた空には、
昨日から居座っている白いモヤモヤ雲。

残念ながら、今朝も星たちの姿は見えない。
でも、不思議とがっかりはしなかった。

星が見えなくても、空はそこにある。
昨日と同じような雲が浮かんでいても、
今日という空は、
まだ誰も見たことのない新しい空なのだから。

もしかしたら、
思いがけない雲の表情に
出逢えるかもしれない。

もしかしたら、
白い雲の向こうから、
昨日とは違う朝陽が顔を
覗かせてくれるかもしれない。

そう思うだけで、もうじっとしていられない。

「モリリン、森村さん、
もう歩く気満々みたい!」

「うん! 今朝も朝陽との
待ち合わせがあるからね!」

そう。
私が一番好きなのは、夜と朝が入れ替わる、
あのほんの短い時間。

群青が少しずつほどけ、空が淡く染まり、
やがて水平線の向こうから
朝陽が生まれる瞬間。

何度眺めても、決して飽きることがない。

今日も、その瞬間に立ち会いたい。
だから、少し早めに出かけよう。
まだ眠っている横浜の街を抜けて、海へ。

昨日の空の続きを探すのではなく、
今日だけの空に逢いに行く。

さあ、靴ひもを結んで。

本日も、森村営業開始です。

どんな朝が待っているのかしら。
それは、歩いてみなければわからない。

— Morimura