あなたとお別れしたあと、
いつもの場所で夜風に当たりながら
日記を書いていた。
ようやく書き終えてアップすると、
なんだか小腹が空いてきた。

そこで、すぐ隣のコンビニへ。
まずは、いつものグリーンコーラ。
そして、
何気なくお菓子のコーナーを眺めていると、
ちょっと気になる名前が目に留まった。

「真夜中の誘惑」

あら、なんとも意味深な名前ね。
小袋でカロリーも控えめ。
どうやら新商品らしい。

ふふふ。

それなら、ちょっと誘惑されてみようかしら。
というわけで、
あっさり誘惑に負けてしまった私。

グリーンコーラを飲みながら、
甘い誘惑をひと口。
そして、先ほどから書き続けていた
『あわい草子』の続きをまとめ始めた。
五、六年前の自分と、今の自分。
時のあわいを行き来しながら、
創作に向かう心を魅つめていた。

ああ、いい感じ。
ようやく文章がまとまりそう。

そう思ったところで、ご予約のお知らせ。
あらら!
また新しいドアが開くらしい。
書きかけの物語をそっと閉じ、
あなたの待つホテルへと向かった。

そして、次のドアが開きました。
迎えてくださったあなたを見て、
びっくり仰天!

「えっ! 若い!」

すると、あなたは少し照れくさそうに、

「はい、若いです」

「いや、かなり若いわよね?」

「はい。でも、若いのは嫌ですか?」

そう尋ねるあなたの顔が、
なんだか少し寂しそう。

「そんなことないわよ。
ところで、いくつなの?」

「21歳です」

「ええーーっ!」

思わず、ギョギョ!
私の年齢を2で割っても、
まだ余るじゃないの!

そんなことを話すと、あなたはにっこり。

「僕、年上がいいんです」

あら、そうなの?さらに、

「僕からしたら、
30代か40代にしか見えないですよ」

ですって!

「ちょっと、あなた!
それは言いすぎでしょう!」

ふたりで顔を見合わせて、大笑い。

それにしても、
なんて素直でかわいらしいあなたなのだろう。
そんなあなたを見ていると、
私の中のお姉さん気質が、
むくむくと顔を出してきた。

「さあ、お姉さんに任せなさい!」

ふふふ。

あなたにそっと触れると、
安心したような、
とても気持ちよさそうな笑顔を見せてくれる。
その無邪気な表情が、なんとも愛おしい。

つるつるのお肌。
少し照れたような笑顔。
そして、素直に甘えてくるかわいらしさ。
なんだか、
こちらまで心がほどけていくようだった。

そして今度は、
あなたが私をやさしく包んでくれた。
若いあなたの腕の中にいると、
不思議な感覚に包まれる。
まるで、20年ほど前の
自分に戻ったかのような。
ふっと時が巻き戻ったような、そんな気持ち。

そういえば、あなたに逢う前に食べたお菓子。

「真夜中の誘惑」

あらまあ。
どうやら今夜は、
お菓子だけではなく、
時間まで甘い誘惑に包まれてしまったらしい。

ふふふ。

年齢を重ねることと、
心が若くあることは、
きっと別のことなのね。
今夜の私は、いつもより少し……。
いえ、かなり若返った気分!

なんとも楽しく、かわいらしく、
そして心ときめくひとときだった。

ありがとう、あなた。
また、あの素直な笑顔に逢える日を
楽しみにしていますね。

そして、ホテルを後にした。
外には、少し冷たい夜風。
けれど、私の心には、
まだ甘い余韻が残っていた。

今夜の真夜中の誘惑。
どうやら、お菓子よりも
ずっと甘い時間を味わってしまったようね。


秋の夜に
甘き誘惑
笑み重ね
時を忘れて
心若やぐ

— Morimura