白絹の雲に揺れるときめき✨
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引き続きご予約をいただいていたので、
あなたの待つホテルへと向かった。
そして、最後のドアが開きました。
「わあ! やっと逢えた!」
とっても嬉しそうな笑顔で
迎えてくださったあなた。
「あら、本当にお久しぶりね!」
思わず、ふたりで笑顔になった。
「最近、遅くまでしなくなったでしょう?」
そう言われて、ああ、そういえばそうだった。
以前は午前1時までだったけれど、
いつの頃からか
午前0時で終わるようになっていた。
どうやら、あなたにとっては、
その午前0時から1時までの時間が、
いちばん都合がよかったらしい。
「ずっと逢いたかったんだけど、
時間が合わなくて。
でも今日は少し早く来られたから、
やっと逢えたよ」
ああ、なんて嬉しい言葉なのだろう。
そんなふうに私との再会を
待ち望んでくださっていたなんて。
「私も、また逢えて嬉しいわ!」
そう言いながら、
ふたりでぎゅっと抱きしめ合った。
懐かしい。
初めてお逢いした頃のことが、
ふっと心に蘇ってくる。
あれから随分と時が流れたけれど、
あなたは少しも変わらない。
「かわいいね」
「もっと顔を見せて」
「ねえ、もっと顔を見せてよ」
ふふふ。
相変わらず、
そんな言葉を何度も繰り返してくださる。
「もう、そんなに魅つめられたら
照れちゃうじゃない!」
そう言いながらも、やっぱり嬉しい。
幾つになっても、
かわいいと言っていただけることは、
女心をくすぐるものなのね。
あなたに優しく触れ、
あなたからも優しく触れられる。
肌を寄せ合い、
互いのぬくもりを感じながら、
ゆったりと時間が流れていく。
そして、時折また私の顔を魅つめては、
「かわいい」
あらまあ。そんなに褒めてくださったら、
私、すっかり舞い上がってしまうわ。
けれど、何よりも嬉しかったのは、
今日こうして再びお逢いできたこと。
逢えなかった時間があったからこそ、
今、こうして寄り添えるひとときが、
いっそう愛おしく感じられる。
外には冷たい秋風。
けれど、あなたの腕に包まれていると、
その寒ささえ忘れてしまいそうだった。
ありがとう、あなた。
今日もたくさんの優しさと、
嬉しい言葉をありがとう。
またお逢いできる日を、
楽しみにしていますね。
そしてホテルの前でお別れし、
私は待機所へと戻った。
ふと、空を見上げる。
そこには、私の大好きな
群青鏡の世界が広がっていた。
深い群青の空に、
白絹のような雲がうっすらとかかっている。
ゆらり。ゆらり。
風に身を任せるように、静かに漂う白い雲。
ああ、今の私の心みたい。
あなたと過ごした時間の余韻に包まれ、
まだ少しときめきながら、
ゆらゆらと揺れている。
逢えなかった時を越えて、
再び重なったふたつの心。
その温かな記憶が、
今夜の群青の空に、
白絹のような優しい模様を
描いているようだった。
そして私は、もう一度空を見上げた。
なんとも美しい夜。
今日の最後のドアは、
私の心に、優しいぬくもりと
小さなときめきを残してくれた。
秋風に
ふたたび逢えた
ぬくもりを
白絹にのせ
夜空へ返す
— Morimura