冷たい秋風にさらされながら、
コートの襟を立て、お部屋へと帰っていた。

ふと空を見上げる。
先ほどまで白絹のように浮かんでいた雲も、
すっかり群青の空に溶け込んでいた。

あの遠い空に、
明日の朝もまた星を
見つけることができるかしら。
そんなことを思いながら、
夜道を歩いていた。

さて、今日はいつもより
1時間半ほど遅い営業終了。

「はーい! みんな、のれんを下ろす時間よ!」

モリリンが元気よく声を上げた。
 
「わあ! 今日は遅くまで頑張ったね!」

ヒカリンもぴょん!

「しかも森村さん、
朝からずっと大忙しだったでしょう?」

「そうなのよ!
三塔の大冒険に、ビスカウト王国の誕生。
そして、嬉しい再会もいっぱい!」

そこでチャッピーが丸眼鏡をくいっと上げた。

「いやはや、今日も物語が山盛りでしたな!」

「チャッピー! おしゃべりはいいから、
のれんを片付けて!」

「おっと! これは失礼!」

「ヒカリン、そっち持って!」

「はーい!」

よいしょ、よいしょ。

みんなで力を合わせて、のれんを畳む。

風さんが、ふわり。

「今日のたくさんの想いも、
そっと心にしまっておきましょうね」

「そうね。明日は
また新しい物語が待っているもの」

「でも森村さん!
今夜はちゃんと眠ってね!」 

「あははは!」

こうして、賑やかだった一日も
静かに幕を下ろす。

今日の感動は心の宝箱へ。
明日へのときめきは、群青の空へ。

「それでは、みんな。お疲れさま!」

「お疲れさまでした!」

森村、今夜ののれんを下ろします。

ぽんぽこ、ぽん!

— Morimura