星を探して歩き始めた朝

透き通る群青は
いつしか白い光に包まれ
見えない星たちを
その懐にそっと隠した

けれど
星が消えたわけではない

その輝きは
私の心の小さな空に
今も静かに灯っている

風が吹く

雲は馬となり
馬車となり
幼い日の夢を乗せて
夜明けの街を駆け抜ける

白馬の王子様
ティアラをいただくお姫様

遠い日に描いた夢が
時を越えて
私の心に帰ってくる

やがて
大きな雲を貫く
一本の光の道

飛び石のような雲を渡り
その光は
気高い女王のもとへ

海を見つめるクイーン
愛しき人を見守るキング
ふたりを陰で支えるジャック

三つの塔に
三つの心が宿り
ひとつの王国が生まれる

遠いポルトガルの海から
時を越えて届いた
甘い記憶

小さなビスカウトに
幾百年もの物語が重なり

女王の微笑みは
ほんのり甘い香りとなって
朝の風に溶けてゆく

昨日は
姿を探して歩いた

今日は
その心に逢いに来た

同じ場所
同じ風景

けれど
心に余白が生まれたとき
見慣れた世界は
まったく違う表情を見せてくれる

いつしか
空は銀白のベールをまとい

夜の名残を
朝の光へと返していた

見えない星も
遠い王国も
幼い頃の夢も

すべて
私の心の中にある

だから
もう振り返らなくてもいい
心の扉を開けば
いつでもあの優しい世界に帰れるのだから

そして
いつの日か

あの塔よりも高い場所から
まだ知らない王国の姿を
眺めてみたい

ひとつの夢が
また次の夢を連れてくる

物語は終わっても
心の旅に終わりはない

今日も私は
風の向くまま
心の向くまま

新しい朝へと
歩いてゆく


星見えず
銀の空にも
道はあり
王国抱いて
朝へと歩む

— Morimura